ドナドナ (ページ18)

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第18章血戦の果てにページ18

ガイウスとの戦いは『英雄』にとってまさに過去との決別とも言うべきものであった。そう、闘牛として生きた過去の自分との決別である。

人間に対しての反抗者としての道を歩み始めた『英雄』と、あくまで人間の管理する闘牛として生き残る道を選んだガイウス。

二頭の戦いはまさに死闘、まさに血戦。

だが、決着はあまりにもあっけなく訪れる。伝説の闘牛二頭、そして豬一頭に鍛え上げられた『英雄』の実力は、既に人間によって都合よく作り替えられた『闘牛』でしかないガイウスを遥かに凌駕していたのだ。

決着の時はあまりにもあっけなく訪れる。短期決戦を得意とする『英雄』に対して、長くしぶとく戦うことを信条とするガイウスは、その時点で不利を被っていた。

一瞬の油断が、ガイウスの急所をがら空きにし、そして『英雄』はそれを逃さなかった。ガイウスは最後の言葉も残すことなく崩れ落ちる。

闘技場には大粒の雨が降った。それはまるで『英雄』の涙であるかのようにガイウスの血を洗い流す。

雨音が鎮魂歌を奏でる中、過去との決別を果たし、人間に対する真の反逆者となった『英雄』は、闘技場に閉じ込められている闘牛たち、いや、世界中の、人間という大敵に強いたげられてきた全ての牛達に向けて叫んだ。

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