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耀哉の話しを要約すると、先日の最終選別により、晴れて鬼殺隊士となった少年────竈門 炭治郎は、鬼となってしまった彼の妹────竈門 禰豆子と現在行動を共にしている。
禰豆子は強靭な精神力で理性を保ち、飢餓の状態であっても二年以上の歳月、人を喰らうことはなかったという。
「そんなことが有り得るのですか?」
桜士郎は、その俄には信じがたい内容に目を大きく見開き、耀哉に問う。
「確かに信じられないことではあるが、あの左近次が信じたんだ。私は信じる価値があると思っている」
「あの鱗滝さんが……?」
鱗滝 左近次という名は鬼殺隊でも有名である。元水柱にして、現水柱の冨岡 義勇を育てた人物。桜士郎も鱗滝とは何度か面識があり、その人柄もよく知っている。
決して、そんなお伽話のような嘘をつく人ではないと桜士郎は知っていた。
「それにね、元々は義勇が二年前、鬼であった禰豆子を見逃して左近次の元に送ったんだよ」
耀哉のその発言に、桜士郎は言葉を失った。師に似て、あの堅物、冨岡 義勇が鬼を見逃す。それが隊律違反だというのは彼も流石に理解しているだろう。それを承知の上でするなんて正気の沙汰ではない。
「何かの間違いでは?」
「いいや、左近次から手紙も届いている。禰豆子が人を喰らうことがあれば、炭治郎、義勇と共に腹を切って詫びるとのことだよ」
耀哉は続ける。
「そして炭治郎は、鬼舞辻にも遭遇したようだ」
「……それは本当ですか?」
桜士郎は今日は驚きの連続だな、と思いながら耀哉へ問う。彼が驚くのも当然のこと、現在鬼舞辻に遭遇したことのある隊士は存在しない。
つまり、炭治郎が鬼舞辻に遭遇したことのある唯一の隊士であるということだった。
「……それでは、私がとやかく言えるものではないようですね。これはまたとない好機ですから」
桜士郎は苦笑する。全くもって信じたわけでは無いが、竈門 炭治郎が鱗滝、また兄弟子の冨岡 義勇までも命を懸ける価値に値すると認めた人物であることは確かだった。
あの堅物二人を手懐けることは容易なことではない。桜士郎は内心、竈門 炭治郎という少年に興味を
「どうやら、着いたみたいだね」
桜士郎が炭治郎に興味を抱いたのとほぼ同時に、殉職した隊士たちの墓地が見えてきた。入り口で一礼し、中へと足を踏み入れる。
二人は一度話すのを辞めて、墓参りを始めたのだった。
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天霧(プロフ) - とても面白かったです。ハールメンで見させて貰います。 (2021年9月26日 1時) (レス) @page17 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - いおりさん» 前作からと長々この作品をご閲覧頂きありがとうございます!部活の大会や模試などが立て込み、中々更新出来ずにすみません。ですが、これからも応援して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2020年1月16日 7時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 前作から来ました。今作もすっごい面白い、、、。これからもお体に気をつけて更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年1月13日 17時) (レス) id: 74a65ddbfb (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - そう言って貰えると、良かったぁってなります。ありがとうございます!了解です。前作は残していく方向で行きます!更新頑張ります! (2020年1月5日 11時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
Sara.(プロフ) - 面白すぎて一目惚れしました。大好きです前作残して欲しいですす更新頑張って下さいぃぃ! (2020年1月4日 23時) (レス) id: 37e203d48e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しとは | 作成日時:2019年12月12日 1時