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鬼殺隊 当主 産屋敷耀哉は、殉職した鬼殺隊士の墓参りを一日も欠かしたことが無く、全ての隊員の生い立ちを完璧に把握していた。

桜士郎は、その人格を尊敬し、その(たゆ)まぬ努力は、鬼殺隊士のそれと同義だと思い、彼を慕っていた。






桜士郎と産屋敷 耀哉は、二人きりで殉職した鬼殺隊士の墓参りに向かっていた。
産屋敷 あまねより、「当主を頼みます」と言われた以上、桜士郎は少し緊張感を持ちながら、耀哉の歩みに合わせ、一歩一歩進む。



「任務明けなのに、すまないね桜士郎。私の我が儘を聞いて貰ってしまって」


「いいえお館様。いつもは私の我が儘を聞いて頂いてるのですからおあいこです。私は嬉しいですよ。お館様と少しでも、同じ時を過ごせて」


「……ありがとう桜士郎。君は優しい子だね」


耀哉の声色や表情などからは本当に申し訳無いと思っているように感じられた。
これは我が儘なのか、と少し疑問に思いつつ、桜士郎はあまり見せることのない微笑(びしょう)をもらす。
耀哉は、空気の変化から桜士郎が笑みを浮かべていることに内心驚きつつも表情には出さずに微笑み返した。


「お館様こそ宜しいのですか? 私のような()の隊士と二人きりなど……」



鬼殺隊は、強さまたは功績によって階級というものが与えられる。上から、甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸である。例外に、鬼殺隊の最高戦力にして最強の十人、【柱】と呼ばれる階級も存在するが、柱に選ばれるには弛まぬ努力と時間が必要だ。
そして階級に比例して、隊士の強さ、任務の難易度は高く設定されている。
つまり、桜士郎は鬼殺隊の中でも一番階級の低い位置についていた。


「階級は人を判断するものではないよ。何かまずいことでもあったかな?」


「……いいえ、貴方様が宜しいのであればそれで良いのです」


桜士郎は隊の規律を憂いていた。耀哉は鬼殺隊の当主である。普段、一般隊士が姿を見ることは許されていない。柱であれば、最高難易度の任務や定期的に行われる柱合会議にて会うことは出来るものの、頻度はそう多くはない。
そのため、桜士郎のような【柱】ではない隊士と二人きりになるというのは、柱であってもそうはない、例外中の例外中の例外であると言える。


「…………して、私に頼み事とは何でしょうか?お聞かせ頂いても宜しいですか?」


「ああ、そうだったね」


耀哉は今まで閉じてきたその口をゆっくりと開けた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 胡蝶しのぶ , 男主   
作品ジャンル:恋愛
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天霧(プロフ) - とても面白かったです。ハールメンで見させて貰います。 (2021年9月26日 1時) (レス) @page17 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - いおりさん» 前作からと長々この作品をご閲覧頂きありがとうございます!部活の大会や模試などが立て込み、中々更新出来ずにすみません。ですが、これからも応援して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2020年1月16日 7時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 前作から来ました。今作もすっごい面白い、、、。これからもお体に気をつけて更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年1月13日 17時) (レス) id: 74a65ddbfb (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - そう言って貰えると、良かったぁってなります。ありがとうございます!了解です。前作は残していく方向で行きます!更新頑張ります! (2020年1月5日 11時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
Sara.(プロフ) - 面白すぎて一目惚れしました。大好きです前作残して欲しいですす更新頑張って下さいぃぃ! (2020年1月4日 23時) (レス) id: 37e203d48e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しとは | 作成日時:2019年12月12日 1時

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