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桜士郎が今一番会いたくて、でも一番会いたくなかったのが、蟲柱 胡蝶 しのぶだった。
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桜士郎としのぶは、彼女が入隊する以前からの知り合いであった。
蟲柱 胡蝶 しのぶは、柱の中で唯一、鬼の首を切れない剣士。
そのため、入隊する以前は多くの育手が「首が切れないのでは」と揃えて彼女を門前払い。彼女に加えて育手を紹介した、岩柱 悲鳴嶼 行冥でさえ想定外のことで途方に暮れていた。
そんな時、桜士郎が悲鳴嶼に自身の育手を紹介したのである。
桜士郎を育てた男、“元桜柱 如月 源一郎”
彼は、基本の五つの呼吸である【炎の呼吸】と【水の呼吸】を組み合わせ、流麗かつ荒々しい独自の呼吸として派生させた柔軟な発想力を持ち、引退する前は、現鬼殺隊 最強の剣士と謳われる、あの悲鳴嶼を超える実力があったとされる凄腕の剣士であった。
ある鬼との戦闘により、復帰不可能な程の重傷を負ったため、現役を退きはしたが、まだまだその強さは健在であり、今は鬼殺隊士の育成に力を入れている。
彼もまた、桜士郎と同じく好奇心が旺盛で、首を切れない剣士と聞いても嫌な顔一つせず、逆に『面白そうだ』と快く育手の件について引き受けた。
そして約二年の歳月、しのぶは源一郎の厳しい否、厳しすぎる修業を受け、晴れて鬼殺隊員と認められたのである。
つまり、しのぶは桜士郎の妹弟子に当たるのだった。
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桜士郎の気まぐれであった。
同僚の悲鳴嶼が彼女のことで頭を悩ませていたのを偶然見かけ、彼にはそれなりに世話にもなっていたので力になれればと自身の師を紹介した。
鬼殺隊士になるにはある程度の体格は必須である。しかし、胡蝶 しのぶは生まれながらに同年代と比べて、一回り小柄な少女だった。
桜士郎は初めて彼女と対面したとき、「なるほどな」と思った。
目の前の彼女の体格では、到底鬼の首を切ることは出来ないだろう。そして、他の育手も同じことを思ったのだろうと。
桜士郎は不思議だった。悲鳴嶼ともあろう者がそのことに気づかない筈がない。彼女には事後処理部隊を進めるべきだろう。
そう悲鳴嶼に問うと、桜士郎には理解出来ない答えが帰って来た。
「しのぶは頭が良い。何か鬼の首を切る以外の方法を見つけるかもしれない。私はそう信じている」
あの悲鳴嶼がそんなことを言うなんて……。やっぱり、桜士郎は不思議で仕方なかった。
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天霧(プロフ) - とても面白かったです。ハールメンで見させて貰います。 (2021年9月26日 1時) (レス) @page17 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - いおりさん» 前作からと長々この作品をご閲覧頂きありがとうございます!部活の大会や模試などが立て込み、中々更新出来ずにすみません。ですが、これからも応援して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2020年1月16日 7時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 前作から来ました。今作もすっごい面白い、、、。これからもお体に気をつけて更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年1月13日 17時) (レス) id: 74a65ddbfb (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - そう言って貰えると、良かったぁってなります。ありがとうございます!了解です。前作は残していく方向で行きます!更新頑張ります! (2020年1月5日 11時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
Sara.(プロフ) - 面白すぎて一目惚れしました。大好きです前作残して欲しいですす更新頑張って下さいぃぃ! (2020年1月4日 23時) (レス) id: 37e203d48e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しとは | 作成日時:2019年12月12日 1時