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【その他備考】
〈生い立ち〉
六花の国に住むある夫婦のもとにひとり娘として生を受ける。
両親は所謂「駆け落ち」で結ばれた夫婦である。母方の実家であるネライダ家はお貴族様とまでは行かないもののそれなりに「良いお家」と呼ばれる部類の家であるが、家同士の付き合いのために子の相手を取り決めるなどといったことはなく、例え家の後を継ぐべき嫡子であっても己の心に決めた相手と結ばれるが良いという自由な家風を築いていた。そんな寛容な家に生まれたはずの母が駆け落ちなどという事態に陥る羽目になったのは、明らかに彼女自身の問題であると言うほかはない。17歳というまだ学校も卒業していない歳で9歳も年上の異国人と結婚するなどと言い張り始めれば誰だって止める。しかもその異国人が生家を勘当された身であるというのなら尚更である。彼女の家族は単に彼女を守りたいがために一族総出で説得を試みたが、自由な家風で育った箱入り娘がそんな説得に耳を貸すはずもなく、彼女はあっさり駆け落ちの道を選んだ。そうして生まれたのがゴルゴナである。
両親がゴルゴナを愛していなかったというわけではない。しかし、それ以上に彼らは自由というものをこよなく愛していた。
ゴルゴナが1歳になったある日のことである。二人はゴルゴナを半ば押し付けるように隣人に預けると、2年越しの新婚旅行を称して船で大陸一周の旅を決行。そして旅立ちから五日目の夜に荒天にあい、海の底深くに沈んでしまった。幼い娘をこの世にひとり遺していくことについて何の不安も抱かず、ただやりたいことをやりきった喜びの中で二人は共に泡と消えた。
遺されたゴルゴナを引き取ったのは母の生家であるネライダ家だった。親族内での協議の結果ゴルゴナは職業柄家を空けることが少なく一番子育てができる環境下にあると判断された伯父のイードゥラ・ネライダの養女となり、彼の住む薫風の国へと移り住むこととなる。
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作者名：白銀刹那 | 作成日時：2023年3月24日 20時
