〈文スト 〉口付けは蜜よりも甘く

愉快な道化師2(ゴーゴリ) ページ6

ゴーゴリが曖昧な事を言う時は、大抵『イエス』を意味する。
「今忙しいから、後でにして」
話すのは時間の無駄だと思った私は、ゴーゴリを無視して作業を再開した。
だが、その言葉が逆にゴーゴリの興味を引いてしまったらしい。
「じゃあ、後でなら襲われても良いって事かな？」
ギシリと床が軋む音がした。
＿＿＿＿嫌な予感がする。
私は恐る恐る顔を上げ、ゴーゴリの方を向いた。
気味の悪い薄ら笑いを浮かべて、ゆっくりと私に近付いてくるゴーゴリからは、恐怖さえ感じる。
「・・・後でも、駄目」
酷く喉がカラカラに渇いている気がして、私はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「ねェAちゃん。最近、ドス君と仲良いよね？よく楽しそうに話してるの見かけるけれど」
ゴーゴリの腕が、するりと私の肩にまわされる。
その感触は、まるで蛇がゆっくりと私の首に巻きついたみたいだった。
「その書類整理の仕事も、ドス君の為にやってるんだよね？」
私は、何も言えなかった。ゴーゴリの凍てついた瞳が、私の瞳を捉えていたから。
「・・・ふぅん。そっかあ。また一から身体に教えてあげないと駄目なのかな？Aちゃんは、僕のモノだって事＿＿＿＿」

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