〈文スト 〉口付けは蜜よりも甘く

貴方に溺れて10(太宰) ページ19

「正解」
と乱歩さんが、ぽつりと呟く様に言った。
「え？私の話って・・・其方？」
予想していた話しと違ったらしく、太宰さんの表情から、次第に笑顔が消えていく。
「非道いよAちゃん！？Aちゃんまで、国木田君みたいな事を言っていたなんて！」
太宰さんは、とうとう泣き言じみた事を言いながら、私の肩をぐわんぐわんと揺さぶる。
「恨むなら、日頃の行いを恨め太宰」
「自業自得だね」
私もその言葉に、同意して頷いた。
国木田さんと乱歩さん、そして私に、トドメを刺された太宰さんが、嘆きながら床に平伏す。
________何だか、少し可哀想に思えてきた。
「嘆いている暇があるなら、今から名誉挽回にでもしに行け」
国木田さんはそう言うと、太宰さんに一枚の書類を渡した。
「仕事の時間だ、太宰。Aと行ってこい。そうすればサボらないだろう？」
流石は国木田さんだ。太宰さんの扱いになれている。
「はいはい。今から名誉挽回しに行けば良いんでしょ？」
ようやく諦めたらしく、太宰さんはゆらりと立ち上がると、私の手を取って言った。
「私の活躍を、しかと目に焼き付けておいてくれ給えよ、Aちゃん________」

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