第七百八十八訓 ページ22
刀をぎりりっ、と手が擦れるほど強く持って二人を守るように前に立つ。
手は出させない、と朧を睨みながら兄弟子二人を背中に庇って。瞼にグッと力を込めた。
銀時「お、まえ……」
『………随分と血だらけじゃないか。鉄臭いし汚いし……やっぱ駄目だね。私の兄弟子は』
後ろから、掠れた銀時くんの声が響いてくる。
それは苦しそうというかなんというか……ただ純粋に驚いたような声音だった。
銀時「なんで……」
『…………んー、強いて言うなら…約束?』
思わず置いてきてしまった将ちゃんだって心配だけれど、あちらには頼もしい仲間が着いている。
それに彼自身もかなり強い。
だから……今はこの情けない惨状をどうにかしてやらないとね。
朧「…愚かなものだ。これが松陽の弟子達か?あくまでも天に抗い、無様に散っていくが己が運命とでも」
『無様に散る?アホ吐かしな、数分後地べたに這いつくばって無様に負け犬の真似してんのはアンタの方だ』
許さないよ、烏だろうと兄弟子だろうと。私と先生の約束には何人たりとも入り込ませないから。
「…………っ、A…?」
『!』
すると、後ろから掠れた声がまた聞こえてきた。銀時くんのものだと一瞬思ったが、それとも違う。
低くて少し心地よい様なテノール。聞きなれたものだった。
_____『高、杉……』
胸を貫かれて、血だらけで、気絶していると思っていた高杉。彼はかろうじて意識を保っていたようで。
私の名前をまるで焦がれる様にして言った彼に、少し驚いてしまう。
「なんで……きた…テメェは_____」
途切れ途切れで、掠れた声のまま苦しそうに言葉を紡ぐ高杉。貫かれた体はもう悲鳴をあげているだろうに。
どうしてそんなに苦しそうなの?傷のせい?それとも…
.
『………来ない方が、良かった?』
最後の最後まで私を喧嘩に巻き込みたくないっていう、君の良心のせいか。
私は顔だけ高杉を振り返って、ふっと微笑んでみせた。彼の目にそれがどう映ったのかは知らないが……
「……!おまえ、」
『気にしないで。高杉は居眠りでもこいてれば?』
でも、烏だけは絶対に私が引き受ける。
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RENKA - 初コメ失礼します、感動しました号泣です涙止まんないです!!心がキュンキュンしました!!もうキュンキュン通り越してギュンってなりましたよ!← これはホント何回みても飽きないですマジで!!最高っす!!!ってことでちょっともう1回読んできますね(( (2022年7月5日 11時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 涙止まんなすぎてバスタオルで拭きました最高ですめっちゃ感動しました!!!!! (2022年7月4日 21時) (レス) @page41 id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - イルさん» 将軍暗殺篇はこれにて閉幕です、NEXTとしてはさらば真選組編ですね!!ハンカチのご用意を……w結構心理描写が精神的に来るものがあると思われますです……更新頑張ります!将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雑草のかきあげ(仮垢)さん» 最初からw!?!かなり長いですよ!?w大丈夫ですかほんと無理しないでねw!?!更新頑張りますw将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - つなかんさん» いやこちらこそぎゅんぎゅんして頂いた様で(?)良かったです、更新ノロマですが宜しくお願いしますw!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2022年5月3日 15時