第七百八十六訓 ページ20
『っはぁ、はぁ……!』
息が荒い。肺が破けそうだ。呼吸をする度胸が傷んで苦しくて、胸が痛くて、気持ち悪い。
でも走らなければ。仲間の為に、兄弟子の為に。松陽先生のために。
.
『よき、好敵手……?えっと、仲がいいって事ですか?』
「仲が良い……ですか。まあ言い得て妙ですがそうなのかもしれません」
『……?』
「ふふ。まあ少し複雑なんですよ」
『…………でも、いいな。お兄ちゃんかぁ…』
「…………行ってみますか?」
『……え?』
「貴方の兄弟子がいる場所…松下村塾へ」
私が兄弟子に会いたいと言った時、貴方はとっても優しい顔してた。本当に、幸せそうな。
『!い、いいんですか!?』
「えぇ、勿論。慣れない環境はストレスを与えかねないと思っていましたが君が行きたいというなら。きっとあの子達も嬉しいですよ」
『お兄、ちゃん……やった…!ぁ、でも私がそっちに行ったら沢山弟子がいるんですよね?そしたら先生を独り占めできなくなっちゃう…』
「!……ふふ、大丈夫ですよ。私も基本的に傍に居ますし君と同年代の子供達も多い。きっとあそこは居心地がいいでしょう」
『まあ、それなら……』
「そ、れ、よ、り!前回宿題として出した問題はとけたんですか?」
『むっ、舐めないで下さい先生!あんなの簡単ですっ!』
「ははは、そうですねぇ。Aは頭が良いですからねぇ」
『先生に褒めて頂いた頭ですから当たり前です!
…………って、あ!また先生話の腰を折った!絶対ぜーったい、私を松下村塾に連れてって下さいよ!』
「…えぇ、勿論。次私がここに来る時は貴方をここから連れていきますから…貴方もお母さんの亡骸とお別れをしておきなさい」
『!……はい。次先生が来る時までには…必ず』
「よろしい!それでこそ私の弟子です」
『…じゃあ、先生。約束ですよ!私、兄弟子に会うの楽しみにしてますから』
「えぇ……約束です」
『次貴方がここに来る時は、私を松下村塾に連れて行ってくださいね!』
__けどそれから先生は、二度と私の元に来なかった。
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RENKA - 初コメ失礼します、感動しました号泣です涙止まんないです!!心がキュンキュンしました!!もうキュンキュン通り越してギュンってなりましたよ!← これはホント何回みても飽きないですマジで!!最高っす!!!ってことでちょっともう1回読んできますね(( (2022年7月5日 11時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 涙止まんなすぎてバスタオルで拭きました最高ですめっちゃ感動しました!!!!! (2022年7月4日 21時) (レス) @page41 id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - イルさん» 将軍暗殺篇はこれにて閉幕です、NEXTとしてはさらば真選組編ですね!!ハンカチのご用意を……w結構心理描写が精神的に来るものがあると思われますです……更新頑張ります!将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雑草のかきあげ(仮垢)さん» 最初からw!?!かなり長いですよ!?w大丈夫ですかほんと無理しないでねw!?!更新頑張りますw将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - つなかんさん» いやこちらこそぎゅんぎゅんして頂いた様で(?)良かったです、更新ノロマですが宜しくお願いしますw!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2022年5月3日 15時