第七百七十八訓 ページ12
笑みを深めた。
だって当初の目的である時間は、稼げたから。
さっちゃんと全蔵君は、護れたから。
『無意味でもないさ』
パラリ、と音を立てて摩利支天像の丁度上の崖から岩壁の欠片が一つ二つと落ちる。それは新しい戦いのゴングの代わりのようなものだ。
『知ってる?私ね、借りた物は必ず返さなきゃ気が済まないタチなんだ。
ふわり、と風が靡いて私が着ている羽織が舞う。大きくて身の丈に合わないようなそれ。
_____高杉が不意にそれを見て瞠目した。
高杉「!その羽織り……」
『気付くの遅…女の子の変化にすぐ気付かないなんて、君モテないだろ。色男』
どうやら今私が着ている羽織りが高杉のものだと分かったらしい。貸したものすら覚えてないときたか。
(……まあ、女の変化に気付くのが遅すぎた野郎に私から話してやることなんざないさ)
私の代わりに______
.
________ドドォォォン、!!!!!
「「!」」
『はは……選手こーたい…』
摩利支天の彫像の、丁度真上の岩壁……その崖上を駆け降りてきた二つの影。それは見慣れた銀色のもじゃもじゃとチャイナ服の女の子。
『……銀時、く…神楽ちゃん』
よくよく見てみれば、後ろには将ちゃんを守るように新八君も控えていた。あの岩を越えて崖の上から横断してきたんだろう。
……うん。信じてよかった、やっと合流出来た。救世主達のご登場ってね。
______ドガッ、!!!!!
銀時君が高杉に、神楽ちゃんが神威にそれぞれの獲物で斬り掛かり…それを交差させた。
その風圧で神威の拘束が外れた私は、グイッと体を引っ張られて誰かに腕の中で受け止められた。
_____「Aさん!!無事ですか!!?」
『…新八、君……はは、何とか無事だよ…ありがと』
______新八くんだ。
見れば彼は鬼兵隊の残兵を…武市変平太などを倒して将ちゃんを御守りしていた。やれば出来る子だね、君は。
茂茂「……Aっ、!」
『!将ちゃ……え、』
……すると、新八君の後ろにいた将ちゃんが駆け寄ってきてぎゅっと私を抱き締めた。
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RENKA - 初コメ失礼します、感動しました号泣です涙止まんないです!!心がキュンキュンしました!!もうキュンキュン通り越してギュンってなりましたよ!← これはホント何回みても飽きないですマジで!!最高っす!!!ってことでちょっともう1回読んできますね(( (2022年7月5日 11時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 涙止まんなすぎてバスタオルで拭きました最高ですめっちゃ感動しました!!!!! (2022年7月4日 21時) (レス) @page41 id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - イルさん» 将軍暗殺篇はこれにて閉幕です、NEXTとしてはさらば真選組編ですね!!ハンカチのご用意を……w結構心理描写が精神的に来るものがあると思われますです……更新頑張ります!将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雑草のかきあげ(仮垢)さん» 最初からw!?!かなり長いですよ!?w大丈夫ですかほんと無理しないでねw!?!更新頑張りますw将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - つなかんさん» いやこちらこそぎゅんぎゅんして頂いた様で(?)良かったです、更新ノロマですが宜しくお願いしますw!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2022年5月3日 15時