１３話 ページ15
【A視点】
目を覚ますとそこは酷い廃屋だった。
割れた窓ガラスはあちこちに散乱し、倒れた植木鉢の土はこぼれ、そこに植えられていたであろう植物は枯れている。
ここはどこだろうか。
倒れたあの時からどれほど時間が経過したのだろうか。
明るい日差しから判断できるのは今日は晴天で、今は日中であるということだけ。
不幸中の幸いと言うべきか、私を襲った彼の姿はない。
それどころか、目の届く範囲には人っ子ひとりいない。
トイレか仮眠か知らないが私にとっては好都合。
相手がいない今が逃げる絶好のチャンスだ。
ここがどこかなんてそんなことは後回しだ。
とりあえず外に出て、それから警察でもなんでも頼れる人に助けを求めよう。
目の前に置かれた見慣れた鞄。
それは私が使っているものだった。
あれを持って外に出よう。
そうすればスマートフォンを使って親にも、警察にも連絡ができる。
そう思い体に力を入れるも、思ったようにいかずに一向に起き上がれる気配がない。
「おや、起きたのですね」
特徴的な髪型は顔を真正面から見ても後頭部でまとめられている髪の毛が確認できた。
そして何より目を引いたのは綺麗なオッドアイ。
特に右目の赤色は惹き込まれてしまいそうだった。
眼鏡をかけていないし、声も違う。
あの時の彼ではない。
が、私の味方ではないのだろう。
「そろそろ君の騎士様が来ますよ」
騎士。
お姫様や王子様を守る人。
だけど私はそのどちらでもないし、騎士と聞いて思い当たる人物はいない。
「獄寺隼人が当たりか、雲雀恭弥が当たりか、それとも両方か」
どこかぼんやりしていた意識がはっきりしてきた。
覚醒した脳は目の前の男を敵と認識しているのに、何をしてくるか分からない相手に怯え、口を開くことすらできない。
「ほら、騎士様と謁見の時間です。そろそろ起きないと」
階下から怒号とガラスの割れる音が聞こえる。
私をソファから起き上がらせ、空いたスペースに男も腰を掛けた。
二人仲良く座っているような構図だが、私は不本意だ。
身体の自由がきくならすぐにでも逃げ出してやるのに。
「辛ければ僕に寄りかかってもいいんですよ？」
聞きたいことは山ほどあるのにそのどれも言葉にはならず、代わりに私はどうか殺さないでくださいとただ祈る。
「クフフ、そんなに怯えずとも何もしませんよ」
優しい言葉を貰っても、気を抜くと泣き出してしまいそうだった。
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小学7年生(プロフ) - 雛。さん» 雛。様、コメントありがとうございます！そのコメントが嬉しいです〜！！ちまちま更新しますので今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月8日 18時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
雛。(プロフ) - 加筆嬉しいです。ありがとうございます (2021年12月8日 8時) (レス) @page11 id: 9ec0000aae (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 弥冬さん» ありがとうございます！ これからもニヤニヤしながら読んでいただけるよう頑張ります！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 霧菜☆紗理屋さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです！ これからも読んでくださると嬉しいです！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
弥冬(プロフ) - 面白くてニヤニヤが止まりません！応援してます (2020年4月14日 0時) (レス) id: 0c4007c939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小学７年生 | 作成日時：2020年4月13日 11時
