【MHA】私が「神」とは世も末だ

新・1Aガールズの昼食 ページ6

来ることも久しい食堂に着くと、そこには通勤ラッシュを思わせるような大勢の人が立ち並んでいた。

「Aちゃんお弁当派なんだ、ウチら学食だからちょっと頼んで来るね」

和の中にいた、耳にイヤホンの様なものをぶら下げた女子がさらりとそう言うと、その他の女子も足早に注文の列に並びに行った。

あまり姿勢がよろしくない女子だけが、THE・雄英高校という雰囲気に着いていけていない私に、椅子を引き「座ってて頂戴」と淡々と言ってから去って行った。

引かれたままになっている椅子に有難く腰掛け、私は箸の用意をした。
勝手に食べるのも失礼かと、そのまま待つこと約5分。


「お待たせ、ごめんね！」

申し訳なさそうな麗日さんを筆頭に、トレーを持ってざっと女子一同が戻って来た。
これだけで画になるのはなぜだろう。雄英高校のPR動画の一部として使えそうだ。

「お隣失礼します」

と、気品ある様相で隣に腰掛けた女子は、インパクトのあるポニーテールとその雰囲気自体が特徴だろうか。
……否、抜群の美貌もれっきとした特徴だ。特にこのスタイルのよさ。貶されたわけじゃないのに、なんだか侮辱されたような気持ちになった。ううん、やっぱりなんでもない。

「あ、そうだ！皆自己紹介しよー！」

斜め右向かいに座ったピンクの肌をした女子の一声をきっかけに、唐突に怒濤の自己紹介が始まった。

その子は芦戸さん。"個性"は「酸」。活発なTHE・陽の人だ。
向かいに座っている透明の子は葉隠さん。"個性"は「透明化」。色々と覚えやすくて有難い。

左斜め向かいに座るのは耳郎さん。"個性"は「イヤホンジャック」。クールビューティーだ。
左隣に座るのは八百万さん。"個性"は「創造」。ただただビューティーだ。

右隣に座るのは麗日さん。"個性"は「無重力」。とことん可愛い。
麗日さんの右隣に座るのは蛙吹さん。"個性"は「蛙」。さっき椅子を引いてくれた子だ。


ここまでなんとか覚えることが出来たが、男子はこの倍以上の数いるのだ。既に頭が痛い。

「そういえば、Aちゃんの"個性"ってどんなのー？」

とうとう今までずっと嫌だったことを尋ねられた。だが、私はこれまでよりずっと気楽だった。この強個性の中じゃ、私の"個性"なんて凡人クラスであろう。

「ええと、『神』って言うんだ」
「何それ凄っ！」
「Aちゃん神様なの！？」

……幻聴だろうか、普通科で自己紹介をした時と同じような言葉が聞こえた気がする。

落胆は置いていけ→←罪悪感と償い(?)

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