Q7:水筒とボトル ページ8
「すみません。遅くなりました」
校門の前に出ると、虹村キャプテンが外で待っていた。
キャプテンは俺に気づくと、「いや」と呟く。
「それより、もう1人声をかけたが……大丈夫か?」
「もう1人?」
俺がそう呟くとどこからか、慌てたような足音が響いてきた。
その人物が校門に近づいてくると、相手は俺の存在に目を見開いた。
「赤司……くん……?私、虹村くんに呼ばれて……」
「声はかけたな。お前に関する話だからって」
「キャプテン……」
「勘違いするなよ。如月は自分に関することを話されたり、勝手に決定されんのも嫌なんだよ」
「決定は別に、言ったことないけど……」
如月先輩はそう呟くと俺に顔を向ける。
が、その視線はふいに彼女の手元まで落ちてしまった。
どうしたのかと、彼女の手元を見ると、そこには1つのボトルがあった。
「それは?」
俺がそう声をかけると、彼女はそのボトルを後ろに隠してしまう。
「こ、これは……」
「赤司の分だろ?」
「……俺なら、みんなと一緒にもらいましたが?」
「そ、そうじゃなくて……赤司くんと虹村くんのはおかわり。後半、誰よりも汗かいてたの、2人だから……」
如月先輩はそう言うと、水筒とボトルを俺達に差し出してくる。
「……1年のボトル、まだ乾いてないから、私の水筒で許して」
「あ、はい……」
俺はそう頷くも、水筒を手にするとそれを見つめた。
「赤司、あんま見つめんな」
「あ、すみません。女性に何かをもらうとか、初めてなので、つい……」
「今日1日で2回目なのに……」
「あ、いや……すみません」
「良いよ。それよりも行こ?春とはいえ、夜になると寒いよ」
「そうだな、行くか」
キャプテンの言葉で俺達は歩き出す。
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年11月20日 16時