Q43:幼少期 ページ44
赤司side.
如月さんから借りた本を、部屋で読んでいると、携帯が鳴った。
こんな時間に誰だと思いながら、携帯を開き、メールへ行く。
『お前、小さい頃のアルバム持ってるか？
持ってんなら、時間あるときに開いてみろ。
小さい頃の如月と俺が写ってる写真があるはずだ』
「如月さんと、虹村先輩？」
俺は不思議に思うも、本棚へと向かう。
そして、アルバムを出して開く。
が、それらしい人物は写っていない。
(先輩の思い過ごしか。あ……)
ただページを捲る。
そのために動かされていた手は、ピタリと止まった。
そこには丁寧な字で、"1つ上のお友達"と記されている。
その字は生前の母のものだ。
「ふっ。こんなところで母さんの字を見るとはね」
俺はそう呟くと、写真へ視線を上げた。
そこには俺を真ん中に、女の子が俺の首に両手を回して、抱きついている姿と、そんな女の子とは反対側に立ち、怒っているような表情の男の子がいる。
「……この2人が、母さんの印した"1つ上"だとするなら、虹村先輩のいう"小さい頃の如月さん達"か」
俺はそう言って、写真を見つめた。
如月は幼い頃も、茶色の毛髪だったのかなどと、色々な思いが溢れてくる。
「あ……虹村先輩に返事をしないと」
俺は携帯を手にすると、メールを送信する。
だが、1つ疑問が残る。
なぜ、先輩達はこの保育園に入れのか。
別にここが、莫大な資金がないと入れないってわけじゃない。
しかし、如月さんの家からでは、遠い。
そう思ってしまうほどには距離がある。
(如月さんに聞いてみるか？いや、この時間なら、既に寝ているだろう)
俺はそう思い、如月さんにメールをすることはやめた。
すると、虹村先輩から、再びメールが来る。
『当時、俺も如月も、その付近だったんだ。だから、そこに通えた』
そのメールに俺は目を見開いた。
保育園のそばに？
どういうことだ。
如月さんの家は、保育園から遠い。
「……仕方ない。心苦しいが、如月さんに聞いてみよう」
俺は呟くと、すかさず如月さんへメールを打った。
『遅くにすみません。虹村先輩から、幼少期のアルバムについて、メールが来ました。見てみると、如月さんと虹村先輩が写っており、小さい頃はその保育園のそばに住んでいたと言われました』
そこまで打って、俺はメールを削除した。
何がなんでも長すぎる。
そもそも、虹村先輩との流れは必要か？
いや、ないとなぜその事を知ったのか、怖がるかもしれない。
「……どうすれば……」
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作者名：アマユリ | 作成日時：2021年11月20日 16時
