Q27:レシピ ページ28
赤司side.
どのくらい時間が経ったのだろう。
ふと如月先輩へ顔を向けると、真剣そうな表情が見えた。
(何をしているんだ？)
俺は先輩の手元を見つめた。
そこにはノートにぎっしりと文字が書かれている。
「何をしているんですか？」
「！あ……これはドリンクとはちみつレモンのレシピ。後輩達のためにね」
「俺も見て良いですか？」
「あ、うん。赤司くんにもその権利があるから……」
俺は「ありがとうございます」と言い、そのノートを見た。
そこにはスポーツドリンクから、これまで如月先輩が作ったドリンクまで詳しく書いてある。
その字からは、先輩らしい思いやりが感じられる。
「……それ、赤司くんの分だよ」
「俺の？良いんですか？」
「うん。家の人にでも、作ってもらって？仕事を頑張ったご褒美」
如月先輩はそう言って、優しく微笑む。
ノートを見つめていると、先輩はボトルをカゴに入れていく。
「ぃよっと」
「持ちますよ」
俺はそう言って、先輩からカゴを2つ持つ。
「ありがとう」
「これくらい、問題ありません。最初はどこですか？」
「第3体育館だよ」
第3体育館……。
3軍のとこか。
如月先輩が歩き出したことで、俺はその後ろについていく。
その間、俺は3軍について考えた。
如月先輩に顔を向けると、ドリンクのカゴが重いのか、少しフラついている。
(重いなら、俺を頼れば良いのに……)
「先輩」
「なに？」
「重いなら、俺が持ちましょうか？」
「！だ、大丈夫。赤司くんだって重いでしょ？」
「俺は大丈夫です」
「ダメ。ムリして体は壊さないように」
先輩はそう言って、カゴを抱え直す。
正直、先輩のそばがこんなに落ち着くと思っていなかった。
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作者名：アマユリ | 作成日時：2021年11月20日 16時
