檸檬と夜叉と歌姫と。 ページ12
がたんごとんとリズミカルに列車は揺れる。人もまばらな車両に三人は腰を下ろしていた。
「ありがとうございました、与謝野先生、敦さん。」
まだ赤みの残るほっぺたを擦りながらAが呟いた。
キュッと唇を結んでいるAに、敦は「いや、僕は何も・・・」と云いかけるが、それを遮るように「あのオッサンに一言いおうとしてくれたじゃないですか。」といわれる。
しゅんとなる二人に、
「気にするこたァないよ・・・ああいうのは何時になってもいるもんさ。」
ひらひら右手を振りながら答える与謝野先生。
こういう人を「本当に優しい人」というのだろうな、と思った。優しい人は、強い人。
「・・・ところでさ。敦、あんたマフィアに脚を食いちぎられたそうじゃないか。」
「・・・・・・ああ。」
そのことを思い出し、顔色が悪くなる敦。
「ふゥん。 綺麗なもんだねェ・・・」
「ぎゃいっ!?」
べろりとズボンのすそを捲られ、敦から変な声が出た。
あひひひひ、とくすぐったがる敦を一瞥し、毎度恒例の「現状メモ」を始めたA。
『某月某日、地下鉄に乗車。此処に35人殺しと檸檬爆弾が現れる。如月が来るかどうかはいまのところわからない。しかし、常に最悪の状態を予想してこそ____』
『あぁ〜、こちら車掌室ゥ。』
来た・・・!
タイミングが悪い、と目を見開く。
『誠に勝手ながらぁ?ただいまよりささやかな『物理学実験』を「梶井、代わって。」えっちょ、如月サン!?』
何やってんだあいつ。まじで頭狂ったか。
スピーカーの方を人を殺せそうな目で睨むA。
『中島敦、柳瀬A。貴方たちを捕まえに来た。さっさと首を出さないと・・・まずはこれよ。』
ドォンッッ、という爆音とともに車体が大きく揺れる。
騒然となる社内に、如月の冷えた声が響いた。
『・・・今ので2、3人は死んだ。次はこんなもんじゃないよ。
被験者代表、貴方たちが首を差し出さないと、全員あの世行きだよ。』
「な・・・!」
「あのクソ女・・・!」
「云った傍から御出ましってワケだ・・・!」
【リクエスト】甘めの珈琲を一杯→←作者の寝言(できれば読んでくだせえ)
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メイデーア - 初コメ失礼します!この作品めっちゃおもろいですね。ちな、私は夢主ちゃん大好きなんで如月さんは嫌いサイドです。すんません。中也さんに何故如月さんを好きになったのかとか聞いてみたいです★ (4月6日 20時) (レス) @page34 id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
タピオカパン(プロフ) - うっす、タピオカパンです。この度なぜか作品ページに飛べなくなったので、別名義で再ログインしました。ご迷惑おかけして申し訳ありません (2020年8月6日 14時) (レス) id: cfe55cf157 (このIDを非表示/違反報告)
タピオカパン(プロフ) - Yukiさん» コメントありがとうございます!見てくれるだけでも励みになりますので、お気になさらず!・・・でも登録してくれるとうれぴーです! (2020年6月28日 11時) (レス) id: cfe55cf157 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 面白いです!ログイン出来ないのでお気に入り登録できないんです(´;ω;`)更新待ってます!応援してます! (2020年6月28日 1時) (レス) id: f9f48108ec (このIDを非表示/違反報告)
タピオカパン(プロフ) - 鮎さん» ありがとうございます!たまに生存確認してやってください(-ω-)/ (2020年6月21日 15時) (レス) id: cfe55cf157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タピオカパン | 作成日時:2019年9月20日 15時