会いたい ページ34
帰宅の道中杏寿郎は自分を不安にさせないようにAの事を千寿朗に話していた。
「千寿朗、何も不安に思う事などないぞ！姉上だってきっと直ぐに帰ってくる！」
「あぅ？」
「そうとも！姉上は凄いんだ！いつも…ってこの話も流石に聞き飽きたか。」
Aの話もかれこれ両手の数を超えた。
あのキョウダイを見てからというものの、心細さに拍車がかかってしまったようだ。
「ダメな兄だな…俺は。」
無意識にAの影を求めてしまう自分が嫌になる。
それに今日に限っては、家への道がいつもより遠く感じていた。
「父上！ただいま戻り「Aが失踪、だと！？」
おつかいを終えた杏寿郎が家に着くなり槇寿郎の槇寿郎の悲痛な怒号が屋敷中に響き渡る。
「父上・・・？」
恐る恐る顔を覗かせると槇寿郎の腕に乗る六郎の姿を確認するが、緊迫した空気に思わず身を隠して聞き耳を立てた。
「Aガ巡回デ向カッタ山ヘ捜索ヲ数日行ッタガ、痕跡ハ何一ツ見当タラズダソウダ・・・先日モ捜索ヘ向カッタガ、吹雪デコレ以上ノ捜索ハ遭難者ガ出ル為中止、御館様ハ全テヲ聞イタ上デAヲ失踪扱イトシタ。」
「なっ・・・あっ・・・」
その話を聞いて杏寿郎は篭から野菜を落とすと力なくその場に座り込んだ。
野菜が落ちる音に気付いた槇寿郎はまさかと思い振り返れば顔を真っ青にした杏寿郎と、散らばった野菜に手を伸ばす千寿郎を見つけて慌てて駆け寄った。
「杏寿郎っまさか、聞いていたのか？」
「あ、姉上は、戻らないのですか？」
力なく裾を掴む杏寿郎を見てコレ以上不安を煽らないように槇寿郎と千寿郎を優しく抱きしめた。
「大丈夫だ、Aはちょっと迷子になっているだけで、六郎たちが見つけてくれる！」
「…っ」
「今は色々と間が合わないだけで、お前が心配することなんて何一つないさ。」
そう言い聞かせるように槇寿郎は微笑みかけると杏寿郎達を部屋に戻るように指示を出す。
杏寿郎は部屋に戻るなり千寿郎を布団に寝かせ、デンデン太鼓を手に取り律動よく鳴らした。
「千寿郎、何も心配する必要はないからな…っ父上もあぁ言っていた通り、姉上は迷子になっているだけだ！全く、鬼殺隊のくせにっ…姉上は情けないな！」
最初こそ笑顔を見せていた杏寿郎だが、鳴らしていたハズの太鼓の音は止まっていて、笑顔で下を向いたままボタボタと涙で畳を濡らしていた。
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あまね(プロフ) - 続き気になる！ (9月29日 0時) (
レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ！！少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います！ (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます！続きもがんばってください！ (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴーたん | 作成日時：2020年5月13日 14時
