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失態 ページ28

『ハァ・・・ハァ・・・』


凍てつくような寒さに肺が氷りそうで痛い。
もともと体温は高い方なのに、すごく寒いし体が鉛のように重たい。
答えは簡単だ、私が珍しくヘマをしたからだ。
非常に不愉快極まりない、穴があったら入りたいとはまさにこの事。

今日は巡回で雲取山を訪れていた。
この時期、雪とはほとんど縁がない私にとってこの土地の足場は最悪といっていい程に相性が悪かった。

慣れない足場に細心の注意を払い過ぎたせいもあって鬼が迫るまで存在に気付かなかった。
鬼を探るのが十八番だった私にとってこの事態は本当に情けない。

まるでヤマアラシのようなトゲトゲしい髪を生やした鬼はその髪が滑り止めの役割も担っているのか、高速で回転しながらこちらに向かって突進してくる。
慌てて避けるも雪に足元を取られてしまい、上手く避けきれずに鬼のトゲがわき腹に刺さってしまう。


『にゃろ!』


直ぐに引き抜いて刀を構えるも、しびれる痛みと寒さで悴んだ手が相まって刀を持つ手が震える。


「どうやら私の毒が聞いてきているようだなぁ?」

『武者ぶるいだっての!』


ニヤリと笑う鬼が気に食わなくて、強がるが流れる血を見てそうは言ってられないようだ。

私は目的も果たせずこんな下級の鬼に殺されるのか・・・?

募る苛立ちに応えるように体が燃えるように熱くなる。


『生憎、鬼舞辻無惨に会うまで死ぬつもりは、ない!』


炎ノ呼吸・・・壱ノ型っ


『不知火!』


ドンっと地面を抉るように蹴り上げると鬼の頚が宙を舞った。
この際無惨の居場所とかどうでもいい。
鬼どもがそろって首を横に振る姿はもう見飽きた。


鬼の頚が地面に落ちるのと同時に自分の身体が地面へと落ちる。

こんな雪山でなければあんな初歩的な失態なんて起きなかった。
呼吸で止血をしようにもあの鬼の毒のせいで体が思うように動かない。


そして冒頭に至るわけだ。

血は雪を赤く染め、私の身体から簡単に体温を奪ってゆく。
きっとこのままでは血の匂いを嗅ぎつけて熊や野犬が来るだろう。

己の不注意で鬼に怪我を負わされて、その死因が凍死してそのまま動物に捕食だなんてあまりにも恥ずかしすぎる。


『意地でも生き延びてやるっ!』


痺れる体に鞭を打ち、刀を突き刺して起き上がろうにも上手くいかず結局力尽きて私は仰向けのまま空を見上げた。


『本当…雪なんて…大っ嫌いだ。』


薄れる意識のかな、思い浮かんだのは愛しい弟の笑顔だった。

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あまね(プロフ) - 続き気になる! (9月29日 0時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ!!少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います! (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます!続きもがんばってください! (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年5月13日 14時

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