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家族 ページ3

おぎゃー!おぎゃー!

屋敷中に響き渡るは元気な赤子の産声だった。
その屋敷の廊下を烈火の如く走っているのは、この屋敷の当主でもある”煉獄槇寿郎”である。
槇寿郎は襖を勢いよく開けるとそこには妻である”瑠火”の腕に己とよく似た赤子を目にする。


「おめでとうございます、男の子ですよ。」

「〜っ!!」


槇寿郎は嬉しさのあまり、妻と子を抱きしめ大人げなく泣き喚いた。


「もう、槇寿郎さんったら、泣いてないでAを呼んできてください。」

「あぁ!」


瑠火に笑われながらも別室で大人しく待っているであろうもう一人の我が子を迎えに転びながらも向かう。
襖をあけると齢、5歳ほどの黒髪の少女がおはじきをはじいて遊んでいた。


「Aっ!産まれた!弟だ!」

『え・・・?本当ですか?』

「あぁ!瑠火が呼んでいる、行こう。」

『で、でも・・・。』


どこか遠慮がちなAに槇寿郎は安心させるように抱き上げる。


「血のつながりなどなくとも、俺達は家族だ。違うか?」

『・・・。』


小さく頷いているこの少女は、5年前に槇寿郎が滅した鬼になってしまった母親の腕にいたあの赤子である。
最初こそは墓場までその事実を持っていこうと考えていたが、勘の鋭い彼女は成長すると共に己が自分たちの子供ではないと自覚し真実を問いてきたため、全てを話したうえで改めて家族として暮らしていたのだ。


「そうと決まれば急ごう!」

そうして辿り着いた部屋の前にAを下ろすと、恐る恐る瑠火と赤子の元へとむかったのだった。


『は、母上…Aです。』

「あぁ、A。まっていましたよ、ほら…貴方の可愛い弟です。」

『わ、父上にそっくり。』

「ふふっ煉獄の血は抗えないみたいね、さぁAも弟を抱っこしてあげてください、きっと喜ぶわ。」

『えっ!』

瑠火から赤子を受け取ると困惑するも、落とさないように慎重に腕に収め頬を突く。
すると無意識に伸ばされた赤子の小さな手がAの指をきゅっと強く握る。


『私がアナタのお姉ちゃんだよ・・・杏寿郎。』

「「杏寿郎??」」


瑠火と槇寿郎は顔を見合わせて首を傾げるも笑みを浮かべてその名前を受け入れた。


「うむ、いい名前だ。」

「きっと強くてよい子に育つでしょう。」

『はい。(・・・あなたは私が守るから、安心して大きくなってね。)』


Aは杏寿郎を抱きしめ心の中で誓ったのだった。

守る→←序章-2



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あまね(プロフ) - 続き気になる! (9月29日 0時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ!!少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います! (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます!続きもがんばってください! (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年5月13日 14時

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