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地獄の連勤も最終日を迎えていて、明日はようやく休みだ。
明日はどうしても外せない予定があったので、あらかじめ前もってクソ上司に有休申請をしておいた。
もちろんクソ上司にはいつものようにネチネチと嫌味を言われ、いつものように定時ギリギリに新しい仕事を渡された。
しかも渡された仕事は期日ギリギリの物ばかりだ。
どうして直前まで溜め込んでいるのか理解が出来ない。どうせ自分で仕事を処理する気が無いのなら、案件が発生した時点でこちらに回して欲しい。
現在時刻は、午後十時。
気が付けば職場にはもう私しか居らず、終電ではないだけまだマシかと溜息を吐いた。
仕事を終わらせるとパソコンの電源を切り、疲れきった身体を伸ばして私は帰る準備を始めた。
タイムカードを打刻すると職場を出ると、駅に向かって電車に乗り込んだ。
こんな時間なのにそこそこ混んでいる電車に揺られながら眠気を堪えていると、最寄り駅に着き電車を降りて家までの道を歩き始める。
まるで足に枷が付いてるかのように、足取りは何故かいつもより重く感じた。仕事の疲れが溜まっているのだろうか。
疲れた身体に鞭を打ちながらようやく家に辿り着くと、玄関にある靴がいつもより一足多い。しかも見覚えの無い靴だ。
何故か胸騒ぎがして、私は急いでリビングに向かった。
慌ててリビングに入ると、見知らぬ顔が一人居た。
きっちりとセットされた黒髪に、ガーネットの瞳。
そして眼鏡を掛けている。
そして何処となく皆の表情は、いつもより明るく見えた。
「…ただいまです」
sha「おかえり、A！」
shp「Aさん、今日も遅かったですね」
ci「お帰りなさい、Aさん！」
「…おかえり、A」とだけ言う、いつもより元気の無いコネシマさんの表情だけはどこか暗く感じた。
zm「A、おかえり！聞いてや、ついにトントンが来てん！」
rbr「W国と繋ぐ場所が見付かったからな、帰る準備ができたんや」
ロボロさんの言葉の意味を理解したく無かったのに、気付かされてしまった。
コネシマさんたちは、もういつでも帰れるのだと言うことを。
───これ以上、この先の話は聞きたくない。
kn「……」
何かを言いたげなコネシマさんの代わりに、鬱さんが口を開いた。
ut「つまりやで、Aちゃん。単刀直入に言うけど、僕らもうすぐW国に帰らなあかんねん」
お別れの時が刻々と迫っていた。
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