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蝶屋敷からの帰り道、Aは突然涙を見せる自分を見て慌てふためく、炭治郎の姿を思い出していた。

「悪い!余計なことを言った!俺が悪かった!」

そう言って何度も背中をさすってくれた炭治郎に、「ごめんね、大丈夫。…炭治郎の無事な姿が見れて良かった」と言ってそのまま飛び出してきてしまったAは、炭治郎心配しているだろうな、と今頃自分のことをそっちのけでAのことを心配しているであろう炭治郎を思い、ため息をつく。

「ただいま」

返事のないその挨拶が身にしみてしまったAは、再びため息をついて玄関を上がると、「おかえり」と言って義勇が目の前に現れたので、驚きのあまり思わず確かめるように無言で義勇の頬に触れる。

「…あれ、本物…」
「俺はまだ死んでない」

そういうことじゃない、と反論する間も無く踵を返して自室に戻ってしまった義勇に、今日で三度目となるため息をついて、Aは夕食の支度に取りかかる。

「……」
「わ、義勇さん…」

音もなく現れ無言のまま食事の支度を手伝い始める義勇にAは驚くものの、「ありがとうございます」と言って支度を続ける。

「…炭治郎と禰豆子ちゃんのために、命をかけているそうですね」

無言のままなんの返事もなかったが、一瞬止まった義勇の動きが、Aの問いかけが真実であることを告げていた。

「……、どうすれば、私を義勇さんのものにしていただけますか」

たまらず口をついて出たAの言葉に、驚いたように顔を上げた義勇は、「やめろ」と言ってまたすぐに支度を続ける。

「どうして…好きだと言ってくれたのに、私は義勇さんが好きなのに、」
「やめろ!…お前のそれは勘違いだ。俺に無理やり口付けられて、自分の気持ちを勘違いしているだけだ」

まるで自分に言い聞かせるようにそう言った義勇は、動揺しているのか、だんだんと食材を切る音が乱雑に大きくなっていく。

「勘違いで構いません。…義勇さん、言ったじゃないですか。俺は卑怯だって。…卑怯のままでいいから、無理やりにでも、私を貴方のものにしてほしいんです」

そのAの言葉が心の何かに触れたのか、ぴたりと動きを止めた義勇は、突然「分かった」と顔を上げる。

「義勇さん…!」
「今夜、…今夜だ。嫌なら逃げればいい。…その時はもう、俺がお前の面倒を見ることはない」
「!」

今夜このまま義勇と夜を共にすれば、もう二度と後には引けないということは、Aにも充分分かっていた。

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チーズ(プロフ) - レインさん» コメントありがとうございますー!!不器用、じれったいをモットーにして書いたものなので、そう言っていただいて嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございます! (2019年12月17日 21時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 義勇さん不器用すぎていつ、くっつくんだ!早くくっつけ!クソッ!!見てるこっちがなんかアレだ!!(語彙力) 面白い!! 完結おめでとうございます! (2019年12月17日 20時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - たまごさんさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございます!!そうだったんですね!嬉しいです!次作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年12月1日 7時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - はああ・・・やはり良きです・・・完結おめでとうございます!!無惨様の作品は知らず知らずのうちに見ていました!!好きだなあと思って、作者誰だろ?と下にスクロールしたらまさかの・・・。僭越ながら次作でも応援させていただきます!! (2019年12月1日 0時) (レス) id: 8760f7a678 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - orangeさん» こちらこそ、最後までお付き合い頂きありがとうございます!ぜひ書かせていただきます(^^)もうしばらくよろしくお願いします! (2019年11月30日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月13日 13時

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