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修行を終え、お風呂も済ませてあとは寝るだけになったころ、Aは何やら書き物をしている炭治郎に小さく声をかける。

「なかなか起きないね、…禰豆子ちゃん」
「ああ…、このままころっと死んじゃうんじゃないかって、不安でたまらないよ」
「そうだね…。家族を失うのは、本当に辛い」

何を思っているのか、明かりを反射して煌めくAの瞳はじっと禰豆子を見つめている。

「…Aは、どうして義勇さんと恋仲にならないんだ?」
「?どうしてって?」
「A、いつも言ってるじゃないか。ずっと義勇さんと一緒にいたいって」
「うん。それ以上は何も望んでないよ」

そう言って微笑むAに、炭治郎は「でも妹じゃ、ずっと義勇さんの一番で居続けることは出来ないんじゃないかな」と眉を下げる。

「俺だって、それこそお嫁さんをもらったりしたら、もちろん禰豆子のことは変わらず好きなんだろうけど…優先順位は変わっちゃうだろ?」
「…そっか…、」

落ち込んだ様子で視線を落としたAは、しばらく何か考え込んだあと「決めた」と握りこぶしをつくる。

「次義勇さんに会った時、お嫁さんにして下さいって頼んでみる」
「…おお…、うん…」

いきなり色々すっ飛ばしてお嫁さんを志願するのか、と突っ込みどころはあるものの、義勇さん的には悪い展開ではないはず…と信じて、炭治郎はあえて何も突っ込まないでおく。

「嫌って言われちゃったら、その時は炭治郎が私を慰めてね」
「ああ」

拒まれたら悲しいということは、そういうことなんじゃないのか、という言葉は飲み込んで、炭治郎は笑顔でうなづく。

「お嫁さんかぁ…」

炭治郎の目に映る、にこにこと嬉しそうな様子をみせるAは、どう見ても恋する乙女そのもので。

「Aは、お兄さんがいたんだよな」
「うん。すごく優しくて素敵なお兄ちゃん」
「…そのお兄さんと義勇さんへの想いは、同じ気持ちなのか?」
「同じ気持ち…?」

何か確かめるように自分の胸に手を当てたAは、「少し違うかな」と炭治郎に目を向ける。

「例えばどんなとき違うんだ?」
「嬉しいことを言われたとき、胸の奥がきゅって苦しくなるの」
「…ちなみに、嬉しいことって?」
「んー…、私には義勇さんしかいないのにって話になったとき、俺もだって言ってくれたことかな」

それでよく恋仲じゃないなんて言えたな、と心の中で突っ込みながら、早く恋仲になって幸せそうな二人が見たいな、と強く思った炭治郎だった。

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チーズ(プロフ) - レインさん» コメントありがとうございますー!!不器用、じれったいをモットーにして書いたものなので、そう言っていただいて嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございます! (2019年12月17日 21時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 義勇さん不器用すぎていつ、くっつくんだ!早くくっつけ!クソッ!!見てるこっちがなんかアレだ!!(語彙力) 面白い!! 完結おめでとうございます! (2019年12月17日 20時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - たまごさんさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございます!!そうだったんですね!嬉しいです!次作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年12月1日 7時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - はああ・・・やはり良きです・・・完結おめでとうございます!!無惨様の作品は知らず知らずのうちに見ていました!!好きだなあと思って、作者誰だろ?と下にスクロールしたらまさかの・・・。僭越ながら次作でも応援させていただきます!! (2019年12月1日 0時) (レス) id: 8760f7a678 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - orangeさん» こちらこそ、最後までお付き合い頂きありがとうございます!ぜひ書かせていただきます(^^)もうしばらくよろしくお願いします! (2019年11月30日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月13日 13時

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