メガネちゃんと王子様っ！ (ページ9)

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TH「マンボーのキーホルダー？」

落ち着いた頃、テヒョン君に先程のことを話した。
彼はカバディの練習をサボったらしく、校庭からは未だカバディカバディカバディカバディｶﾊﾞﾃﾞｨ……と声が聞こえる。

『私は、本当に知らないんだけど…ジョングク君の気に触るようなことしちゃったみたいですごい怒らせちゃった…』

TH「メガネちゃん悪くないじゃん。完全にジョングクが決めつけて怒ってるし、あいつがわるい。

でもね〜…そっか。マンボーのキーホルダーが盗まれちゃったんだ」

なにか含みのある様な言い方が気になった。

『ジョングク君、他のものは盗まれてもいいけどこれだけは別だって、言ってたの』

TH「…別、だねぇ。

……聞きたい？」

テヒョン君が少し困ったように笑う。
でも、このまま勘違いされてジョングク君に嫌われ続けるのは悲しい。
私は静かに頷くとテヒョン君はおいでって私を廊下のベンチに座らせた。

TH「まぁ、あれが何かって言われたらジョングクの死んだ母親の最後の形見なんだ」

『形見…？』

TH「ジョングクの母親はずっと病にかかっていて、余命も言い渡されていた。最期だからって小等部の頃にジョングクを連れて水族館に行った時、マンボーのキーホルダーを買ってくれたみたい。

だから、ジョングクにとってあれは母親からの最期のプレゼントだったんだ」

そんなに、大事なものを無くすなんて絶対辛いに決まってる。悲しいに決まってる。
テヒョン君の話を聞いてまた涙が溢れてきた。

『私探してくる』

TH「え？」

『男子更衣室には入れないけど廊下とかゴミ箱とか、探してくる！』

後ろから声をかけられた気がするけど私は気にせずにキーホルダーを探し始めた。