メガネちゃんと王子様っ！ (ページ31)

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『 30 』ページ31

"もっと強くなれる"

そのホソク先輩の言葉がこだました。

HS「俺たち跡取り息子はきっとAちゃんが今まで経験したことの無いようなことに悩まされてる。だから人を信用なんて滅多にしないはずだよ。それなのに、テヒョンアやジョングガは君の隣を歩いた。それって立派な友達だと思うよ。

今日までたくさんのいじめに耐え続けて、友達を捨て1人になっても耐え続けるAちゃんはとっても強い。

親の目に脅えてナムジュナと必要以上に関われない俺よりもずっと…ね？」

ずっと自分は惨めで弱いと思っていた。
だけど、おばあちゃんに心配かけたくないしせっかく特待生として学費を免除してもらいながら通えている高校を卒業したい一心で耐えてきた。

それを、今ホソク先輩に認めて貰えた。

今まで涙は冷たくて寒いと思っていたけど、今頬を伝うそれはとても熱くて嬉し涙は熱いんだって知ることが出来た。

『私、テヒョン君に謝ります。そして、ちゃんと友達になりたいって言ってきます』

HS「うん。きっとあいつも喜ぶよ」

私は彼らの家の事情なんて知らないしきっと聞いても理解出来なければ助けてあげることも出来ない。

だけど、彼らが私を信用してくれていたのならそれを裏切ってしまった時の彼らの気持ちは少しだけ分かるかもしれない。

だから、謝らなくてはいけない。

『それから…』

HS「ん？」

『…生徒会長…ナムジュン先輩と普通に話していいと思います』

HS「…え？」

こんなの、何も知らない私が言えたことじゃないけど…

『ライバルだって、友達です。

でなきゃ、張り合うことなんて出来ないですもの。お互いを認めあってるからライバルなんです。

だから、友達。友達が普通に話すことはダメな事じゃないです』

出しゃばってすみませんと言って飲み終えたティーカップを中心へと片付ける。

『私、そろそろ帰ります。祖母が心配するだろうし…』

HS「Aちゃん」

立ち上がる私に声をかけてきたホソク先輩。

HS「また、たまにお話しよう。」

『わ、私なんかがっ！』

HS「君と話していたら…肩の力が抜けるんだ。

ね、お願い。友達だと思って。」

先輩が友達なんて…とは思ったけど疲弊しきってる先輩が話すことで少しでも楽になるなら…

私は小さく頷いた。