【文スト】中原中也の奮闘記録

疑問が二つ ページ26

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かくかくしかじかと、私が今回の行動に至った経緯を話し終えると、それはもう大きな溜め息を吐いて両手で顔を覆った中原君

そんなにショッキングな内容だっただろうか


様子を伺おうと、手を伸ばして彼の顔を覗き込もうとすると


ガシッと―――


『お？』


其の腕を掴んで顔を上げた中原君

再び余裕の無いお顔とこんにちはである



『中原君…？』

「………手前、暫く万年筆持つの禁止な…」

『やだよ』

「燃やす」

『清々しいくらいの実力行使だね』



ああ云えばこう云う、そんな私に舌打ちをかまして、掴んだ腕にぎりぎりと力を込める脳筋君、じゃなくて中原君



「――手前さっき、私は如何すればいいかって訊いたよなァ？」

『………ハァ、判ったよ』



怒った中原君の機嫌をとるには、彼の云う事を訊くのが一番手っ取り早い、これは実証済みである



『それで、他には？』

「寝れねぇ時は呼べ」

『うん』

「睡眠剤なんか飲むな」

『うんうん』



ぽつりぽつりと、明後日の方向を見ながら要求を述べてくる中原君、ここで私は、二つの疑問が浮かんだ


『――ところで中原君』

「あ？」

『まるで私がこの先もここに居るみたいな云い方だけど、その辺は如何なの？』

「逃げたきゃ逃げろよ、ポートマフィアの全勢力をもって捕獲しに行ってやるから」

『わあ怖い』



意地でも逃したくないらしい、私がポートマフィアに忠誠を誓う確率なんて、ほぼ０に等しいのに

其れは中原君も判っている筈だ


にも関わらず、特段説得する事もなく、強要するわけでもない、只文句を云い乍世話を焼くだけで


―――其れが、二つ目の疑問だ



「手前が俺に気を遣って離れようが、俺は手前を逃す気は無ぇよ」

『中原君』

「あァ？」

『如何してそんなに、私に干渉するの？』

「……は？」


漸くこちらを向いて、ポカンと、口を開けて固まった中原君





『―――君って若しかして、私の事好きなの？』


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