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―― "お前の人生、俺が狂わせてやるよ"
先生の冷たい声が、耳の奥でまた私を震わせる。
昨日の夜は、「めんどくせぇ」って言ってたのに。
「くだらねー」って、呆れてたくせに。
そうやってまた。
突然の、ずるいサプライズ。
…もしかして先生、まだ寝惚けてるんじゃ
翔「寝惚けてねーよ」
「…っ!?」
読心術みたいに私の心を読んで、呆れたように笑う。
翔「A」
その瞳が、ふっと笑みを落として。
先生の腕が、またぎゅうっと私を抱き締める。
翔「お前は俺のそばで、ただ真っ直ぐ生きてて。誰にも邪魔させねーから、ずっと思った通りに生きてて。…俺が望むのはそれだけ」
「…っ」
翔「わかった？」
「っ、はい」
翔「ギリギリCカップの貧相な乳もなんとかして欲しいけどね」
「もぅ、先生っ」
翔「泣くのか笑うのかどっちかにしろよ」
「っ、どっちにしても『泣くんじゃねーよ』か『笑ってんじゃねーよ』って言うじゃん」
翔「…生意気なこと言ってんじゃねーよくそガキ」
「(笑)、ほらやっぱ…っ」
泣き笑いで見上げた私を、「うるせー」って呟きながら遮って。
またキスで黙らせる。
この腕の中にいられるなら。
きっと、真っ直ぐに生きて行くことなんて簡単。
先生の、わかりづらくて見えずらい優しさに包まれてれば。
私はもう、思う通りに生きてる。
頬に零れた涙が、重なった唇にぶつかって滲んで。
ちゅって淡い音を立てて、離れる唇。
離れていく唇を焦がれるように見つめる私の頬を、先生の指が撫でて涙を拭う。
翔「しょっぺぇんだよ」
「…っ」
翔「お前は糖分取って、俺に塩分ばっか寄こすのやめてくれる？」
「っ、ごめんなさい」
また泣き笑いの私を呆れた目で見下ろして、手の甲で頬っぺたをぺちぺち叩く。
「…なんか、幸せすぎて怖いです」
翔「平民思想だね」
「っ、どうせ平民です」
翔「平民で貧乳とか救いようがないよね」
「もう先生っ」
とんって胸を叩いたら、その手を掴まれて。
ベッドサイドに手を伸ばした先生が、また私に向き直る。
翔「やるよ」
「え…？」
なんでもない顔で、小さな子に飴玉をあげるみたいに。
私の手のひらに、ぽんっとなにかを落とす。
窓から射す朝陽に反射して、キラキラ輝くそれは。
プラチナの、ダイヤモンドリング。
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作者名：あげは
| 作成日時：2016年7月6日 1時
