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ドキドキしすぎて、息が出来なくて。
先生のはだけたシャツの胸をぎゅぅっと掴む。
離れた唇から、はぁっと切ない息が漏れて。
まだ噛みつきそうな先生の色っぽい目が、鈍く光って私を見据える。
「せんせ」
翔「あ？」
「っ、私ここじゃ…」
翔「まだ抵抗する気？」
「っ、だって」
翔「めんどくせーな。帯紐で手首でも縛られたい？」
「は!?」
翔「その方が燃えんならしてやるけど？」
「〜っ」
椅子に垂れ下がった帯紐を手に取って。
手のひらごとそれを自分の唇に押し付けて、にやっと笑う。
ど、どSが過ぎるっっっ。
こんなだだっ広い部屋の真ん中で。
立ったまま、そんな目で見つめられて。
こんな…、薄ピンクの下着みたいな長襦袢一枚で。
手なんて縛られたら、私気絶しますっ！！
完全にどSスイッチの入った先生が、唇の端からちらっと舌を覗かせて。
また、私の首筋を目指して頭を垂らす。
「せんせっ、もう無」
ピンポーン ピンポーン
肩を押し返す私を無言で組み伏せようとしてた先生の動きが、ぴたっと止まって。
私の肩先に前髪を触れさせたまま、ちって舌打ち。
翔「コンシェルジュだ」
「え？」
翔「ランドリー、持って来いって言ったから」
「あ…」
ふっと身体を離した先生が、壁際のインターホンの脇にどんっと手を突く。
翔「はい」
コ『櫻井様、お洋服をお持ちしました』
翔「あぁ、ちょっと待って」
コ『はい』
通話を切った先生が、そのまま玄関の方へ歩いて行く。
…今の声は、さっきの美人コンシェルジュさん。
「っ、…待って」
フローリングを滑るように駆け寄って、先生の腕を両手で掴む。
「…やだ」
翔「あ？」
「そのままで、出て行っちゃやだ…」
翔「……」
そんな、はだけた艶っぽいシャツ姿で。
獲物を狙う獣みたいに、色っぽい瞳のままで。
あの人のところになんて、行っちゃやだ。
誰にも見せたくない。
こんな先生、他の誰にも見られたくない。
私以外、誰にも知られたくないから。
「っ、行かないで」
翔「……」
腕を握り締めたままの私を見下ろして、ふぅってため息をついてから。
私を引き摺るようにインターホンまで戻った先生が、もう1度通話ボタンを押した。
翔「悪いけど、やっぱ今取込中だからそこ置いてってくれる？」
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作者名：あげは
| 作成日時：2016年7月6日 1時
