▼400 7/29 ページ32
結局、パーティが終わるまで先生のジェントルスイッチがOFFになることはなく。
糖分を過剰摂取し過ぎた私は、くらっくらで会場を出た。
ああいう煌びやかな社交場に慣れる前に、このジェントル櫻井のスイートエスコートに慣れないことには、私の心と身体は虫歯のごとく穴だらけになってしまうっ。
薄暗い地下駐車場の片隅で、見慣れた真っ赤な高級車のハザードがちかっと点滅して。
私の少し先を歩いてた先生が、当たり前のように助手席のドアを開けて振り向いた。
…あぁ。
溶けていく…(誰か止めて)。
着物で動きの鈍い私の姿勢が落ち着くまで待ってから、ゆっくりとドアが閉まる。
どこまでも完璧なエスコートに身を委ねて、運転席に回り込む先生を眺めてた。
勢いよく運転席に乗り込んだ先生が、ばたんっとドアを閉めた瞬間。
翔「…だりー」
だらっとシートに凭れて、だるそうにネクタイを弛める、不機嫌そうな横顔。
…あぁ。
それです。
それです、先生。
翔「…なんだよ」
「えっ!?」
翔「なにその今にもイきそうみたいなだらしねー顔」
「…っ」
翔「やめてね触ってもねーのにこんなとこでサカつくの」
「っ、サカついてませんっ」
翔「あっそ」
呆れ声の先生が、脱いだジャケットを無造作に後部座席に投げ飛ばして。
ガチャっと乱暴にギアを入れたら、静かに車が走り出す。
小さく流れるブラックミュージックと、
先生が、ハンドルを握ったまま鬱陶しそうにシャツの袖を捲る音。
「混んでんのかよ」って舌打ちしたあとの、だるそうなため息。
「やっぱり…が…きです」
翔「あ？」
「…私は、そういう先生が好きです」
翔「……」
ジェントルで甘い先生もかっこいいけど。
やっぱり私は、どSでゲスくてだるそうで口が悪くて。
いつだってめんどくさそうな、櫻井先生が好きです。
翔「それ、自分はどMですって告白？」
「っ、違います(違わないけどっ)」
翔「さっきまで俺に姫様扱いされてぼぉーっと赤べこ顔してましたけど？」
「それは…、ああいう先生は、私には糖度が高すぎて」
翔「は？」
「甘すぎて身体に悪いんです」
翔「ガキのくせに糖尿病患者みたいなこと言うんじゃねーよ」
「(笑)、だって」
翔「男から甘くされたらダメとか、やっぱただのどMだろ」
「だから違いますっ」
……違わないけどっ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あげは
| 作成日時：2016年7月6日 1時
