BT -Black Teacher- 10 *+:S.S:+* (ページ13)

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▼381　Side.Miyuki ページ13

　
カズと2人墓前から下がって、次は潤くんたちかな…って隣を見る。

潤「翔、先生と初対面だろ？先いーよ」

潤くんに促された櫻井くんが、黙ったまま先生の前に立った。

「みんなで先生のとこでも行こうか」ってカズが言い出した時、櫻井くんのことをカズが誘うとは思ってなくて。

たとえ誘ったとしても、「なんでお絵かき教師の墓参りに俺が」とか言って絶対に来ないと思ってたから、中山さんも連れて2人で来るって聞いた時は、少し驚いた。

櫻井くんは見ず知らずの先生に、なにを話しかけるんだろう。

翔「初対面…ね」

小さく呟いて、ふんって薄く笑った櫻井くんが、ポケットからなにかを取り出してカズに差し出す。

美雪「…え？」

和「これ…」

受け取ったそれは、もう紙の端がボロボロになった。

古い古い、パンフレット。

美雪「…っ。な、んで…」

その表紙には。

今日みたいに真っ青な空と、白い雲。

風に揺れる、淡いピンクのコスモスの花。

―― "秋桜は昨日描いたけど、空どうすっかなって思ってて。今日お前らの歌聴いてたら、描けた"

これは先生が表紙を描いた年の、秋の個展のパンフレット。

翔「知ってたんだよね」

美雪「…え」

翔「先生のことも、お前らのことも」

和「お前ら？」

翔「それ、開いてみ」

怪訝そうにカズが開いた、パンフレットの右隅に。

雅「えっ…これ俺たち？」

翔「そう」

懐かしいいたずら描きのタッチで描かれた、雅紀とカズと私。

翔「俺が高3の年の秋の個展、うちの高校でやったんだよ」

雅「えっ、そうだったの!?」

翔「俺生徒会長だったから打合せとか出てて。…先生とは、その時会った」

静かに呟いた櫻井くんが、灰色の墓石を見上げて。

少し、遠くを見るような目をした。

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翔「…さっきからなに描いてんの？」

教育委員のめんどくせー注意事項を聞き流しながら、隣を覗き込む。

打合せ中ずっと眠そうにしてたのに、急に背中を丸めて、俺のパンフレットにシャーペン走らせてる。

智「ん？俺の生徒」

翔「…チャラくね？」

智「チャれぇ(笑)」

翔「右側とか、見るからにお気楽そう」

智「一緒にいると耳が痛ぇの」

翔「あぁ、ボリュームバカね(笑)」

智「そう(笑)」

教育委員「ちょっとそこ、聞いてますっ!?」

智・翔「「…あ、すんません」」
　