男装生活とその日常について３ (ページ9)

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「ちょっ、ちょっとまってください、なんですかブービーって。僕はいったい何の賞を受賞したんです……？」

「オレも解らないんだけど、偉い人が最下位から二番目は良い事なんだって言うから」

「僕が下から二番目……？」

「二人の時を見計らって秋夕の予定を聞いてきたの、スングァニで12人目」

「12人目……」

「ついでに言うとスングァニが言おうとした事もなんとなく分かるよ」

「えっ」

「一緒に済州島へ帰ろうって言ってくれようとしたんじゃない？」

そう首を傾げるAヒョンの言葉に、思わず心臓が飛び出そうになる。

「正解じゃなかったら自意識過剰みたいで恥ずかしいんだけど？」と、照れたのを隠すように眼鏡のブリッジを押し上げた。

「あってる……」

「それはね、えーっと、確か8人目だったかな」

「……そっかぁ、じゃあ今年は誰かの家に行くんですね」

「行かないよ。残念だけど仕事が入ってるからね、ここに居なきゃ」

「仕事って……この休みに？」

「そうなんだよ、困っちゃうよなぁ」

ごめんね、ありがとう、大丈夫だよ。

その３つの言葉を口にして、とうとうAヒョンが手元の印刷物に目を戻してしまった。

あてにならないのだ。

ごめんねとありがとうはともかく、ヒョンの言う大丈夫はなんとなくあてにならない。

「そもそも今からじゃ飛行機のチケットも取れないでしょ」

「あっ」

僕としたことが、一番大事な事を……

バツの悪そうな顔をすれば、Aヒョンが「スングァニはいつも優しいね」と笑う。

そうだろうか、いつも優しくされているのは僕の方だと思うんだけど。

Aヒョンが座るソファの足元に膝を抱えて座ると、伸びてきた手が僕の髪の毛を柔らかく撫でた。

「髪、綺麗に見えるのに結構痛んでるね。あれだけ色入れてれば仕方ないか」

「はあ……済州に帰る前に美容院行ってこようかな……」

「そうしたら？」

頭の上でくすくす笑うAヒョンの声を聴きながら、気付かれないように息を吐き出した。

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