男装生活とその日常について３ (ページ13)

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もう一度平然を保って、状況を冷静に分析しようとしたけど普通に無理だった。

落ち着こうとするほどに、心臓の音が凄まじい速さで音を立てる。

こんなの……だいぶ前にクプスヒョンから叱られた時以来だ……

「ヒ、ヒョン」

なんとか和やかな空気に持ちこもうと明るい声を出そうとすれば、肝心な時に言葉はひっくり返ってしまう。

これじゃあ雰囲気が……！と焦ると、今度は首筋に何か落ちてきた。

もしかして……もしかして泣いてる……？ヒョンが……？

僕の感動的な……伝説となりつつあるローリングペーパーでも泣かなかった、あのAヒョンが……？

わあ、どうすれば……

どうしよう……こんな時ウジヒョンなら、シュアヒョンなら、ハンソラなら……

どの顔を思い浮かべても、記憶の中の彼らは僕を決して助けようとはしない。

なるようになれ……！と半ば自暴自棄混じりに、おそるおそる後ろに手を回す。

初めて手を回した背中は、思っていたよりもずっと小さくて少しだけ不安になってしまった。

僕とほとんど変わらないのに、骨格が違うのか随分華奢に思う。

Aヒョンを心配しると心に余裕が出来たのか、焦りや動揺といった感情が、空気を抜いた風船みたいに小さくしぼんでいく。

Aヒョンの背中を、ポンポンと子供をあやすように優しく叩く。

ここで、なんだか違和感に気付いてしまった。

なんだ、何か違うな……その何かが出てこずに考えて数秒。

よく考えたら、背中にあの固いサポーターの感触が無いのだ。

大きなシャツを羽織ったヒョンの首元を覗けば、いつも喉の半分まで覆っているインナーが見当たらない。

寝る時までつけてるのに、今日はめずらしいことが多い日だ。

「ヒョン、今日サポーター着けてないの？休みだから？」

「あっ、」

Aヒョンがバッっと僕から手を離して、服の中に手を突っ込む。

ひどく驚いた顔をするヒョンに「な、なんだ……」と思いつつ見守ると、ペタペタと自分の身体を触って確かめ、ひどく安心した顔をした。

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