男装生活とその日常について３ (ページ1)

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ホシと筋肉ページ1

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コンサートの通し稽古をしている最中だった。

向かい合わせになったAがくるりと回ったとき、戻ってきた顔は目を大きく開いていた。

ピタリと、その見開いた目と合う。

それで何となく理解できたオレもオレだ。
身をもって味わったヤツはだいたいわかってしまうんだから、身体に悪いことは経験しないに越したことはない。

数曲続いた後に曲が止まり小休止に入ると、すぐさまAの元に駆け寄る。

シューズの爪先を立てて足首を回すAの顔はなかなかに険しい。

「お前やっただろ、ターンしたとき」

「うん、びっくりした」

「いけるか？」

「固めれば大丈夫」

「気を付けててもなる時はなるからな」

肩を解すようにくるりと回しながら「オレも気を付けないと」と言えば、Aが「オレよりスニョンの方が心配だよ」と取り繕った笑顔を見せた。

休憩が掛かったのにど真ん中でこそこそと話をしていれば、メンバーも「何事か」と視線を向けてくる。

Aも過度に心配されるのを好むタイプじゃないから、そろそろ移動した方がよさそうだ。

肩を貸そうかとジェスチャーしたけど首を振られる。
それほどでは無いらしい。

「最近ならないから治ったのかと……」

「癖が着いてんだから一生治らないだろ」

「嫌な事言うなぁ、スニョンは」

眉を顰めるAと隅に移動して座ると、ジフナが近づいてきてAにテーピングを投げた。

どうやらこっちも気付いていたらしい。

ダンスもほとんど荒れることは無かったし、今も壁際に歩いていく様子は自然だったからいつも通り足を捻った程度なんだろう。

この仕事をしていれば慢性的な捻挫癖がついている事も特別珍しくはない。

＿「さすがジフナ、気が利くね」

HS「オレは？」

＿「スニョン先生、いつもありがとうございます」

WZ「お前そろそろ本格的に鍛えたほうが良いんじゃないか？」

＿「鍛えたら足首強くなる？」

HS「……いや、んー、どうかな」

WZ「知らねえけど、トレーナーに聞いてみるか？」

Aが手早く靴紐を解き、靴下を引っ張る。

細い足首は色も変わってないし、腫れてもいないようだ。

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