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「で、月末評価どうだった。」
兄は私に気づいたのか気づいていないのか、並んで歩きながらまっすぐ前だけを見つめていた。
「まあまあ。ボーカル8位ダンス15位」
兄の思いを都合よく解釈し、私も前を向いたまま答えた。
「ふーん。今日も練習してたか」
「うん、さっき切り上げた。」
「ちゃんと寝ろよ。背伸びんぞ。」
「うるさいなあもう。オッパが寝てないから私も見習っちゃうんじゃん。」
「世間一般で言ったら俺はそんなに低くない。」
「はいはい。」
そこで2人とも言葉を切り、無言で宿舎に向かって歩く。
けれどもその無言は、決して緊張感や、不安感が伴うものではなくて。
言葉がなくても、安心で胸が満たされる。
久しぶりに肩の力を抜けている気がした。
「最近どう。」
不意に兄から投げかけられた、そんな言葉。
いつもだったら絶対に言わないような問いかけ。
もしかしたら、オッパは気づいているんだろうか。
「どうって、何が。」
「練習とか、宿舎とか。上手くやってんの。」
気づいて欲しいのに、気づかれたらダメな気がして。
兄の手を貸してもらったら、今度こそ終わってしまうような気がして。
私は、私自身で夢を叶えて見たくて。
それなりに。
なんて、心にも思っていない嘘をついた。
兄は私の意を汲み取ってくれたのか、はたまた本当は知らなかったのか、何も言うことはなかった。
「じゃあ、ここで良いから。」
宿舎近くのコンビニまで来た時、私は兄に言った。
近くまで行って他の練習生や住民に見られでもしたら、どうせまた何か言われるに決まっている。
本当に宿舎まで行くつもりだったであろう兄は、ほんの一瞬、驚いたような顔をしたけれど。
私が、一度決めたら岩のように動かない人間だと思い出したのか、歩みを止めた。
「帰ったら、寝ろよ。」
「はいはい。」
「ご飯も食べろ。」
「わかってる。食べてるし。」
「たまには連絡よこせよ。」
「なに、いきなり。」
「あと。」
あと？
私が急かすように聞き返すと、兄はひとつ、息を吐き出してから私の目を見た。
「辛かったら、我慢するな。釜山に帰っても良いから、健康に気をつけろ。」
久しぶりに聞いた、心配の言葉。
久しぶりに聞いた、兄の優しい声。
久しぶりに見た、私によく似た目でこちらを見つめる兄の姿。
私の涙腺を崩壊させる要素は十分で、ぐっと堪えて下を向くと兄の手が頭に乗せられた。
「じゃ、またな。」
「うん、」
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千笑 - お待たせいたしました。更新を再開させていただきます。 (2023年1月9日 13時) (
レス) id: 6154d9208d (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - いつも小説を楽しんでいただいてる皆様へ。作者の千笑です。私情により、ログインすることができなくなってしまったため、長期間更新ができないかもしれません。申し訳ありません。状況が改善した時にまたお伝えします。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: 6154d9208d (このIDを非表示/違反報告)
Kokuma(プロフ) - めちゃめちゃ好みです！続きが楽しみです。 (2022年12月17日 21時) (レス) id: 9eeff62ceb (このIDを非表示/違反報告)
こまり(プロフ) - まさかの展開すぎてびっくりしてます。続き気になります！更新頑張ってください！ (2022年12月7日 23時) (レス) @page38 id: e86bc2c528 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 前々から読ませていただいているのですが、読んでてすごく引き込まれるし、読むたびに続きが気になってしょうがなかなってしまいます！！むちゃむちゃ好きです！！いつも更新ありがとうございます‥！！ (2022年12月7日 0時) (レス) id: 6864ce5b3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千笑 | 作成日時：2022年10月31日 10時
