まふまふさんはフォロワーさん。

フォロワーさん。30 ページ31

・




『…サインください』





もう諦めた。リスナー全開で行く。


立ち上がって、着慣れないワンピースの着崩れを直す。

そして、腰を九十度に折って深々と頭を下げた。



｢え、えぇ…！？｣



あ、頭上げてください…！って焦っているまふくんをちらりと盗み見る。

運が良いのか悪いのか、ライブは応募すれば必ず当たるけど、握手会に当たったことは一度もない。

だからまふくんをこんなに近くで見るのも初めてで。

…やっぱり、近くで見てもかっこいいんだなぁ



｢あ、あの、サイン…書きますよ？｣


『え、いいんですか！？』


｢はい｣



えっと、色紙…と探し出したまふくんとそらるさんに、すかさず色紙を渡す。



｢あ、ありがとうございます…って、色紙の量がすごい…！｣


｢本当だ、500近くあるんじゃ…？｣



私が色紙を取った所には、大量の色紙が置かれていた。



『あぁ、これは…

今度行う、サイン会の色紙です』


｢え！サイン会！？｣



目をぱちくりさせて、ついに開くんですか！？と聞いてきた。



『はい…アニメの三期が決定しましたし、要望が多かったので…と』



あんまり人前に出たくないんですけどね…と頬を掻き、苦笑した。



｢え、じゃあこのサインは…！｣



そう言って、私のサインを見つめるまふくん。



『…はい、間宮風歌の初サインです』


やった！初サイン！と、サイン入りの色紙を抱きしめてまふくんは笑った。




『…っ』




整った顔立ちなのに、笑うとあどけない少年みたいで…




｢はい！サイン書きましたよ！｣


｢…間宮先生？｣





『っあ、ありがとうございます…』








自分の頬が、熱を帯びたのを感じた。









・

フォロワーさん。31→←フォロワーさん。29

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す