僕はまふまふじゃない ページ36
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「Aちゃんの部屋はここね」
『あ、ありがとうございます』
そらるさんと天月くんが来たあの日から、二週間が経った。
本当に忙しい二週間だった。
Aちゃんは、両親に今まで言えなかったことを全て言ったようだ。
仲が良くなった、とまでは言えないが、少し改善され、たまには帰ってこいと言われたらしく喜んでいた。
俺は、友達にちゃんと連絡をして、これからどうするのかという話をした。
皆に、「まふまふじゃなくても友達だろ」と言って貰えたことが嬉しかった。
「頼れよ!」と怒られてしまったけど。
由菜については放置しておいた。
こっちから明かしてしまえば、あの脅しは無効だろう。
それに、デビューしたEscapismも崩壊危機だ。
ピアノの女の子と由菜と喧嘩したらしい。
方向性の不一致、が理由だとか。
元々仲が悪かった二人を、Aちゃんが媒介役になって抑えていたらしいが…
とりあえず、ざまぁみろ!と言っておこう。
そして今は、元々住んでいたマンションに戻ってきた。
こっちの方が都合がいいし、あのマンションは由菜にバレている可能性があるからね。
ソファに座りながら、久し振りに“まふまふ”のアカウントにログインする。
…約二ヶ月ぶり、か。
最後の呟きには、四十万ふぁぼもされていた。
RTも五万…しかも、まだ少しずつ増え続けている。
これだけ多くの人が、まふまふを待っていてくれたんだなぁ、と嬉しくなった。
でも…
『あ、呟くんですか?』
「うん…手、握ってくれる?」
大丈夫だと分かっていても、反応が怖くて、微かに手が震えてしまう。
それに気付いてか、微笑みながらAちゃんは優しく手を握ってくれた。
『大丈夫です。
真冬さんでも、まふまふさんでも、私は貴方の居場所になりますから』
「…ありがとう、Aちゃん」
【僕はまふまふだけど、まふまふじゃない。】
俺は“相川真冬”という、一人の人間だ。
だけど…
【俺はまふまふじゃないけど、まふまふだ。】
俺は“まふまふ”という、一人の歌い手でもあるんだ。
軽く深呼吸をして、送信ボタンを押す。
指は、震えなかった。
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@まふまふ
僕はまふまふじゃないけど、
やっぱりまふまふなんです。
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作者名:鈴里風夢 | 作成日時:2019年2月2日 17時