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二十四話 ページ24





二曲目を投稿してから一週間程経った。

反応は…かなり良い。一曲目とのギャップに感嘆する人が続出している。


一曲目なんて、既に四十三万回も再生されている。



「そう言えば、Realityが活動し始めてからちょうど一ヶ月だったんだね…先週の二曲目投稿した日って」


『あ、そうですね…』


「うーん…打ち上げでもしよっか!」


『打ち上げ?』



一曲目の再生回数が四十万回を超えたら、焼肉に連れて行こうかな…って、元々思っていたし。

焼肉好きだって、前に言ってたから。


案の定、焼肉に行こうと言ったら、目を輝かせた。



『い、行きたいです!お金も少し貯まりましたし!』


「いや、奢るよ。Realityの為の打ち上げなんだから」



困っているAちゃんに、「今度奢ってね」と言っておく。


Aちゃんは、俺と住み始めてすぐにカフェでバイトを始めた。

バイトなんてしなくていいよ、と言ったけど、どうしてもやりたいと言うから許可した。

ちなみに、見に行ったら可愛らしい制服を着ていて、毎日のように連絡先を渡されていました。
全部破ったけど。


それと…今度奢ってね、なんて、ただの口実。
もし家に帰ることになっても、関係を切らないでねっていう…

まぁ…一ヶ月経っても連絡してこないみたいだし、家に帰ることにはならなそうだけど。



「準備、何かある?」


『大丈夫です!』



わくわくしているAちゃんを見て、思わず微笑む。

そして、左手を差し出した。



『…?』


「手、繋がなきゃ。
部屋を出たら、俺達は恋人なんだから」


『あっ、そうですね!』



きゅ、と優しく握られて、思わず良心が痛む。

…でもいいや。気づいてくれなさそうだし、付き合おうだなんて思っていないから。



「“未だベールに覆われた私”
“君に上げて貰いたい”…ね」


『【13本の薔薇】の歌詞ですか?
そこの部分、好きです!』


「…うん、俺も好きだよ」



だけど、どうか…

歌詞に込めた意味には、気付かないで。



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作者名:鈴里風夢 | 作成日時:2019年2月2日 17時

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