九話 ページ9
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ラーメン屋を出て部屋に戻り、とりあえずお風呂に入ってもらった。
パジャマを持ってきているみたいで良かった。流石に女の子用の服はないから…
『お風呂、上がりました』
「はー、い…」
免疫がなさすぎて思わず目を背けた。
これから一緒に住むのに、この調子じゃ駄目だ…
…そういえば、どのくらい住むんだろう?
家に戻る可能性は一ミリもないのかな?
ぼんやりと考えながらお風呂に入る。
まさか、本当に女の子を家に連れ込むとは思わなかった。
「…Aちゃんのお金、どうしよう。十万円くらいじゃ生きていけないよね」
あの世間知らずっぷりだと、バイトもしたことがないかもしれない。
ご飯代とか光熱費とか貰わない代わりに、家事をお願いすれば、納得して貰えるかな…奢って貰うの、苦手そうだったし。
「…あ、今頃どうなってるんだろ。あの呟き」
色々ありすぎて、すっかり忘れてた。
俺、ちゃんとまふまふを忘れることが出来たんだなぁ…ってちょっと感動。
お風呂から上がると、Aちゃんは荷物の整理をしていた。
それを横目に、まふまふではない垢から、あの呟きがどうなっているのか見てみる。
「…うわ」
まだ呟いてから数時間なのに、十万ふぁぼ…
それと、いつもよりRTが多い。拡散されてるなぁ。
そらるさんや天月君、他にも皆引用RTで俺を心配してくれている。
「…ごめんね」
そう小さく呟いて、スマホの電源を落とした。
皆のこと忘れて、Aちゃんとの生活のことばっかり考えてた。
…最低だなぁ、俺。
『どうかしましたか?』
「ううん、何でもない。気にしないで」
『…そう、ですか』
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作者名:鈴里風夢 | 作成日時:2019年2月2日 17時