十八話 ページ18
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『凄い…投稿されてる…』
「まぁ最初だからね、多分ほんの数人しか見ないと思うな…」
“まふまふ”を使えば視聴回数を増やせたんだろうけど…
普通の新人は、どんなに良くても数千回程だろう。
「あ、ニコリ動画にも投稿しておくね」
『ニコリ動画?』
「YouTebeと同じようなサイトだと思ってくれればいいよ」
ただ、コメントで騒がれるのが少し怖いけど…俺がまふまふだってバレなきゃ大丈夫だよね。
自問自答しながら投稿する。
「ふぅ…」
『ありがとうございます』
いえいえ、と言いながら立ち上がってトイレに向かう。
…出会って三日、だよね。
馴染み過ぎじゃない?
悪いことではないんだけど…と思いつつ、手を洗う。
警戒心が、足りないよなぁ…
部屋に戻ると、俺のスマホが鳴っていた。
『あ、真冬さん…【そらるさん】って人から、着信が』
「…あぁ、ごめんね」
スマホを手に取って、拒否の方を押す。
Aちゃんが『え…』と声を漏らして俺の方を見た。
どんな表情をすれば良いのか分からず、とりあえず苦笑いを浮かべる。
「喧嘩中…みたいな?」
『なるほど…』
信じたAちゃんに、ほんの少し罪悪感を抱いた。
…まふまふを辞めた時は、罪悪感なんて抱かなかったくせにね。
『えーっと…早く、仲直り出来るといいですね』
「…うん、そうだね」
話をしなきゃいけないのは分かっている。
だけど…
今は何も考えずに、ただの相川真冬としての生活を、楽しみたい。
……俺は、いつまでこの生活を守れるのだろう?
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作者名:鈴里風夢 | 作成日時:2019年2月2日 17時