天才音楽家と言われた少女は伝えたい［歌い手］

ライブ前の。6 ページ10

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あっという間に時間が過ぎて、ライブ前のリハーサルが終わり、もうライブ直前。

…Souとのことばっかり考えてたけど、今日が初ライブ。


緊張は、やっぱりする。何度発表会やステージを経験しても、全然慣れない。


深呼吸をして、何とか落ち着こうとするけど、会場にいる観客の声が、すごく大きく感じて…



「Rayくん！！」


『うわ！？』



びっくりした…

後ろから、突然96ちゃんが突進してきたみたいで。
どうしたんだろ…？



「ライブ、楽しもーね！！」


『あ…』



緊張を、ほぐそうとしてくれたんだ。
おかげで、入りすぎていた力が抜けた気がする。



『…ありがとう、96ちゃん』


「ん〜？」



何も知らない、と言う風に、96ちゃんはにっこり笑った。



…そうだ。私一人で、じゃない。

みんなで作り上げるんだ。



『ありがとう』、ともう一度小さな声で呟いて、顔を上げた。


ステージの袖からでも見える、楽しみにしている観客の顔。

色とりどりのサイリウムの中に、Rayのカラーの紫もある。

この会場に、Rayのリスナーさんも来てくれてる…



リスナーさんに、最高の歌を届けたい。

最高のライブにして、楽しんで帰ってもらうんだ。



円陣を組んで、まふくんが喋り出す。



「絶っ対、成功させよう！！
じゃあ初ライブのRayくんとのあのあちゃん！
意気込みをどうぞ〜！」


「えっ！えっと〜
最高のライブにしよ！！」


『…俺、最高の歌を届けたい
お客さんに楽しんでもらえるライブを、皆で作り上げよ』



そう言うと、俺を見ていたまふくんと目が合う。

まふくんは、今度は満面の笑みを浮かべていた。



「よーし、じゃあ頑張ろー！！」


「「「おー！」」」



ついに、ライブスタート！！




………




リハーサル直前。


スマホを見ながらにこにこと笑っているのあちゃんがいた。

気になって、話しかけてみる。



「お？のあちゃん、なんか嬉しそうやなー
いい事でもあったん？」


「えへへ…実はね〜」




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