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『こんこんこやまの、子ウサギは』


私が幼き頃、父はこうしてよく子守唄を唄ってくれた。


どこの唄かも知らない。


壊滅的に下手くそな唄を唄う父のその唄は、


私には気持ちよく聞こえた。


『なぜにお目目が、あこうござる』


トクトクと聞こえてくる心音は、次第に小さくなる。


『ちいさいときに、かあさまが、、、』


口が震えて、嗚咽が溢れそうになる。


「A」


鈴のような声は、私の名を呼んだ。


「、、、つづきを、、、」


私はこぼれ落ちる涙を拭う。


なんでそんなに、幸せそうな顔をするんだ。



『あかい....きのみを、たべたゆえ』


『れでおめめが、あこうござる』


私の唄に合わせるように、一緒に口が静かに動いた。


幸せそうな顔をして手を握る父を見て、涙がこぼれ落ちた。



「いいこえだ、すずみたいだ」


あなたこそ鈴みたいだ。


「びじんだよ、じまんだ」


私の顔あなたにそっくりだよ


「むちゃをするなよ」


無茶ばかりしてたのはあなただよ


「あと...」


聞こえていた心音が、静かになる。


私はとうとう嗚咽を我慢できないくらい涙を零した。


「しあわせに...」


なるんだぞ、息を吐くような小さな音を奏でて、音が止まった

03→←01【序章】



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人形師(プロフ) - 凄く面白いです!無限列車編書いてほしいと思いました。自分のタイミングで良いのでいつか書いてください。 (2020年3月2日 13時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あおいろ | 作成日時:2020年2月10日 8時

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