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びしょ濡れになった瞬間、「大成功〜！」という亜由ちゃんの言葉と共に、上と前から聞こえた笑い声。
そして一転して私を睨みつける彼女に胸ぐらを掴まれた。
「何で私と蓮が付き合ってること知ってるくせに、毎日一緒に登下校してんの？喧嘩売ってるつもり？」
震えを何とか抑えようとしながら、
「違う、蓮が...」
「蓮が一緒にしようって？それが喧嘩売ってるって言ってんだよ！！」
そのすぐ、彼女の友達に強く押され、地面についた手から血が滲む。
「あんたなんて、蓮の幼馴染ってこと以外価値ないの。
幼馴染って立ち位置もムカつくし、彼女の私に気遣えないとか本当クズだよね」
そう言った亜由ちゃんが私に手を振り上げた。
寒いし、手は怪我してるし、もう無理だと思った時、
「クズはどっちだよ」
その声がした瞬間、水を浴びた私より亜由ちゃんには悪寒が走ったと思う。
「蓮...」
1ミリも乾いてなかったのに、真っ先に私の元に駆け寄った蓮は髪を撫でてくれた。
「ごめん、俺のせいで」
自分の意思か震えか分からなかったけど首を振った。
そして蓮はすぐ、私を守るように前に立った。
「お前」
彼は亜由ちゃんを名前で呼ばなくなっていて。
「Aと俺が登下校してるのが嫌とか、俺に一言も言ってなかったじゃねえかよ。
嫌って思ったことは責めないけど、思ったんなら俺に言えよ。
何で俺には物分かりいいフリして、A一人に、それもこんな集団で責めるわけ？これこそクズだろ」
「蓮...」
亜由ちゃんは縋るように言うけど、この時の蓮の声には温かみがなかった。
「そもそもAは言ったよ、自分と登下校しないほうがいいんじゃないかって。だけどそんなことしなくていいって俺が言ったの」
更に蓮は、衝撃の言葉を口にする。
「それに俺と付き合ったの、俺の顔が理由なんだろ？」
「...え？」
私は絶句した。
亜由ちゃんは「違うよ！」と否定したけど、
「蓮はイケメンだから好き。
性格も良いけど、性格そのままであの顔じゃなかったら付き合ってない。
一昨日の昼休み、校庭でそこの奴らに話してたの聞こえたんだよね」
蓮は亜由ちゃんと一緒にいる友達に一瞬目をやり言う。
言葉だけじゃなく時間も場所も言い当てられたから、亜由ちゃんたちは何も言わなくなった。
「最低。
もう人として嫌い」
最後にそう言われた亜由ちゃんの顔は蒼白だった。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2021年9月19日 23時
