36 ページ37
(Ren side)
A組、俺らB組、そしてAと康二のクラスのC組合同で、今から持久走の授業。
A、大丈夫かな。
見た目のことあれこれ言うのは良くないから本人に言わなかったけど、
見るからに痩せてってんだよ。
走る前も最中も、終わってからも、遠目から心配していたけど、無事完走するAが見えた。
良かった。そう思ったのも束の間。
真っ直ぐ歩かなくなったA。
と思ったら崩れ落ちていく。
やばい。
だけど、地面に倒れそうになったAは俺じゃない手に支えられた。
「大丈夫？...A、」
「A！」
有村さんの叫びでみんなが駆け寄る。
だけど、Aをすんでのところで支えたのは、
.
康二で。
でもこの時はそんな冷静に分析できなくて、俺はみんなをかき分けAの元へ行った。
Aの返事はうっすらとしか聞こえない。
気付けば康二はAを背負っていて。
でもその時、
「...軽」
俺にはその呟きが聞こえた。
「先生、俺保健室に運びます」
Aをおんぶした康二がそう宣言する。
「そうか。でも一人は...」
「俺も行きます」
康二と目が合う。
俺らにしかわからない空気。
先生は、じゃあ目黒と向井頼むな、と言い、どちらからともなく保健室へと歩きだした。
Aを背負う康二、Aの荷物を持つ俺。
暑いのに何だか冷たい。
.
「...康二」
「...ん？」
「...告白した」
俺の言葉に康二は一瞬動揺しながら、
「...付き合ったん？」
「いや、返事待ち」
康二はそっか、とだけで、それ以上何も言わなかった。
.
「康二、よくすんでのところでA支えれたな」
彼はせやな、と言ってから、
「...反射的に体が動いとった」
.
隠す意味なんてないほど分かりやすい。
すぐ支えれたのも、Aのこと近くで見てたからだろ？
ただ、一種引け目のようなものを感じている俺は、その言葉を飲み込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キキララ
| 作成日時：2021年9月19日 23時
