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(You side)
"A、別れよう"
康二に突然そう言われて、最初は聞き間違いかと思った。
私、何かしたのかな。
いくら考えても分からなかった。
別れようと言った時の康二はすごく悲しそうな顔してたから。
でも意思は固そうで、引き留められないと悟ってそのまま。
康二と別れたことは蓮と真央にしか話していない。
真央はAは悪くない！って言ってくれて、クラスでも私を今まで以上に一人にしないようにしてくれてる。
蓮は私と同じぐらい悩んでくれていて、康二がいなくなった通学路、それ以外でも今まで通り傍にいてくれてる。
そんなある日。
「深澤ー」
日直だったから職員室に日誌を取りに行った時、数学担当の先生が私を呼び止める。
「夏休みの宿題だったノート、ついでにクラスに持ってってくれると助かるわ」
「あ、はい」
先生はクラス全員分のノートを渡してきた。
結構重いなと思いながら階段の前に来た時、
隣から、半分のノートを持つ手が伸びた。
.
「...持つで」
「...康二」
久々に聞いた声。
優しい康二のことだから、いくら気まずくても素通りは出来なかったんだろう。
彼は私の数メートル前を歩く。
もう、隣に並んでくれることはない。
そう思うと悲しかった。
もう、話してもくれないのかな。
でもせめて、
教室が近づく。
「あのさ康二、」
「ノート、手分けして皆に返そっか」
「...うん」
.
完全に避けられてる。
そのまま何も話すことはできなかった。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2021年9月19日 23時
