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(Ren side)
Aが頭から離れない。
康二とのデートを目撃してしまって。
手を繋いで幸せそうだったA。
康二とそれ以上のこともするんだろうか。
いや、もう既にしてんの？
何でこんなに考えてんのか分かんないけど、それで頭がいっぱいで昨日はよく眠れなかった。
今すぐにでもベッドに飛び込みたいけど、朝が待ってくれるはずもなく。
「眠そうだね」
康二と合流するまでの通学路、Aが聞いてきた。
「ダラダラしてたら夜遅くなってた」
本当のことを言うわけもなく適当に誤魔化したら、「ねえ蓮」とAがまた口を開く。
「何で康二のこと知らないって嘘ついたの？」
「...え？」
「お兄ちゃんに康二のこと知らないって嘘ついたんでしょ？」
俺は頭を掻く。
「...Aから話すほうがいいのかなって」
また適当に誤魔化すと、Aは心底納得した顔をした。
「てかA、今日は弁当じゃないの？」
罪悪感から解放されたくて、いつものお弁当を持っていないのをたまたま見たのをいいことに話題を変えると、Aには何故か笑顔がこぼれて。
「今日はいいんだ」
「え？」
「そのうちわかるよ」
それは言葉通りだった。
しばらくして康二が合流すると、
「A、はいこれ！」
彼がAに差し出したのは紛れもなく手作りのお弁当。
「ありがとう！てかこのお弁当入れ可愛いね」
「やろ？これおかんのやねん」
「そうなんだ。でも、お母さんよかったの？」
「うん。Aにお弁当作るって言うたらそれに入れてきな！って。
何ならおかん俺より張り切って手伝ってくれたんよ」
「ありがとう。今度は私がお弁当作るね」
彼女の言葉に、楽しみやわあと笑みを隠しきれなくなっている康二と、同じく笑顔のA。
最近のAの笑顔は、全部康二が理由な気がしてならない。
また俺の心拍数は速まる。
どうしたんだ俺。
「朝から仲良ししてんじゃねーよ」
薄く笑いながら言ったら、また自分を誤魔化せる気がした。
でも心の違和感は消えなかった。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2021年9月19日 23時
