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(Raul side)
「言っちゃったよ...」
"すげえじゃん。よくやったよ"
電話越しに蓮くんの声を聞きながら思い出す。
破裂しそうなぐらい緊張してた。
言うべきか、ずっと悩んでた。
でも蓮くんと、垣間見えた阿部先輩の本音が背中を押してくれて、
ちゃんと伝えたいって思ったんだ。
"着ていく服と髪型、ちゃんと決めとけよ。好きな人のためには、そうやって惜しまず時間使うべきだから"
「うん。でも...」
"ん？"
「来てくれるかな...」
"大丈夫だから。お前の努力も無駄じゃない。本当に大丈夫だよ"
力強い蓮くんの"大丈夫"に励まされた。
.
そこから今日まであっという間だった。
何日も前に決めた服と、髪も綺麗にセットして、始まる時間の30分前に着いた。
「来てくれるかな...」
時が過ぎると比例して高鳴る鼓動。
そして時間がくる。
だけど、
Aさんの姿は見えない。
10分、20分、
30分経っても、見えない。
...ダメだったんだ。
泣きそうになる。
心にどんどん雲がかかる。
また蓮くんに励ましてもらわなきゃ...。
来た道にまず一歩、重い足を進める。
.
「ラウールくん！」
待ち望んでいた声が喧騒を切り裂いた。
誰よりも綺麗な浴衣姿だった。
「Aさん...」
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作者名：キキララ
| 作成日時：2022年12月1日 17時
