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蓮くん、どうしたんだろう。
そう思っていると、お兄ちゃんとお姉ちゃんの姿が見えなくなったぐらいで蓮くんが口を開いた。
「ラウールさ、阿部ちゃんと仲いいの？」
「...え、何で？」
「前康二と顔合わせた時、阿部ちゃんも途中からいたじゃん。
その時のラウールが、阿部ちゃんに何か言いたいことあんのかなーって思ったから」
見られてたんだ。
言って、いいのかな。
でも、蓮くんになら。
「...僕、好きな人いるんだけど」
「うん」
「その子が多分、...というか、割と確証あるんだけど。
阿部先輩のこと好きなんだよね」
「そっか」
「うん...」
阿部先輩は、いわゆる誰からも好かれる人。
その優しさで、場にいるだけで辺り一面が綺麗になるような人。
転校生なのにあんなに馴染んでいるのは、彼の人柄があってこそなんだろう。
純度しかないその眼差しと態度は僕なんかにも向けてくれる。
あの人を好きな人は無限にいるとしても、嫌いな人っているのかと本気で思う。
.
「でも仮にその子が阿部ちゃんのこと好きだとしても、
ラウールだって好きになるのやめられるわけじゃないんだろ？」
蓮くんはストレートに、僕の本心を言い当てる。
「...やめられるわけない」
「うん」
「その全部を僕は分かってるわけじゃないけど、その子も僕みたいに色んな苦労とか辛い経験してて。
それでも好きなんだ。
その子が事情を抱えていようがなかろうが、僕は好き。
そばに居たい」
「大きくなったなラウール」
「だから、僕ももう高校生だよ。入学式の日も言ったけど」
「分かってる分かってる」
蓮くんが笑った後、今度は僕が投げかけた。
.
「蓮くんはさ」
「ん？」
「失恋ってしたことあるの？」
すると蓮くんはフッと笑った。
あ、これはないやつだ。
あるわけないだろ的な。
「あるよ」
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作者名：キキララ
| 作成日時：2022年12月1日 17時
