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(You side)
昨日初めて、高校の知り合いに私の事情を知られてしまった。
全く関係ないラウールくんを巻き込んでしまったのが嫌でしょうがない。
「A」
「...」
「...A？」
部活でのパート練習中。
阿部先輩が、私の目の前で手を上下にスライドさせながら名前を呼んだ。
「...すみません」
「何か、あった？」
「...いえ」
「...そっか」
阿部先輩は優しいから受け止めてくれるはずだけど、あまりにも珍しい私の事情をこの人に話すのはどうしても勇気が出なかった。
.
「お疲れ様でしたー」
部活を終え、片付けも終わった時。
「Aちゃん」
「深澤先輩。どうしたんですか？」
「昨日からずっとラウが元気ないんだけど、何か知ってる？」
「...え、」
「昨日帰る前に会った時はそんな感じなかったから。Aちゃん、ラウと途中まで帰ってたりしてたら、何か知らないかなって」
途端に申し訳なくなる。
ラウールくんが知った以上、深澤先輩にもいずれ知られるかもしれない。
そう思って、音楽室の隣の空き教室に先輩も移動してもらった。
.
「え！そういうことだったんだ」
「はい。ごめんなさい、急に重い話して」
「ううん。ありがとう、話してくれて。じゃあラウが何かしたわけじゃないの？」
「違います！ラウールくんはむしろ、私を庇ってくれたので」
ラウールくんが私のことでそこまで考えてくれていたのが単純に嬉しかった。
「でも昨日はそのまま別れてしまったので、自分の対応良くなかったんじゃないかってラウールくんは思ってるんだと...」
「そっか。じゃあ私から言うより、Aちゃんからラウに言うほうがいい？」
「そうします。ありがとうございます」
私は先輩に頭を下げた。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2022年12月1日 17時
