15 ページ15
やばーと言いながらケラケラ笑う３人。
何も言えなくなるAさん。
何が楽しいの。
何がそんなに笑えるの。
.
「そうなんだ。だから？」
僕がそう言葉を放つと、彼女たちから嫌な笑顔が消える。
「そりゃあなたたちみたいな人が周りにいたら、学校なんか行きたくなくなるでしょ」
「な、何その言い方！」
「僕が言いたいです、その言葉」
淡々とそう言うと、３人は早歩きでその場を去った。
.
また僕らは駅に向かって歩き出した。
でも、Aさんはずっと俯いてる。
あの人たちと別れてから、何て言うのが正解なのか分からなくて声を掛けられない。
「...」
.
「ごめん、今は一人になりたいよね」
「え...」
「じゃあね。また明日」
何て言えばいいのか分からないんなら、何も言わないのが合ってるのかもしれない。
そう思いAさんと別れた。
.
家に帰ってからも、
ご飯を食べていても、
Aさんのことが頭から離れない。
正直、あの人たちに強く言うのは簡単だった。
悪いのが分かりきってるから、毅然としていればいいってそれは僕でも分かる。
ただAさんに対しては、あれで良かったのかな。
泣いてないかな。そもそもちゃんと家に帰れたのかな。
「ラウ」
「...」
「ラウ？」
向かい合わせでご飯を食べているお兄ちゃんに声を掛けられる。
お兄ちゃんだけじゃなく家族皆、何故か僕を見つめてる。
「ん？」
「どした？何かあった？」
「ううん。何でもない」
誤魔化したけど、誰もそれ以上は聞かなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 204人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キキララ
| 作成日時：2022年12月1日 17時
