05. 素直になれない涼野くん ページ6
「改めまして、本日からお世話になる2年B組の宮坂です。宜しくお願いします」
盛大な拍手と共に温かい歓迎を受ける
その中に吉良の姿は無かったが
誰も言及する物は居なかった
何か事情があるのだと察した私だったが
今は触れるべきではないと判断する
「俺はキャプテンの基山タツヤだ。君みたいに才能がある子に入ってもらえると助かるよ。俺達は来年のフットボールフロンティアで優勝することを目標にしているんだ」
「フットボールフロンティア？」
「中学サッカーの全国大会のことよ。来年から出場権が得られるの」
基山のキラキラした瞳からは
サッカーへの真っ直ぐな情熱が伝わってくる
補足をしてくれた玲名も
心無しか何処か嬉しそうだった
ということは来年までに
皆の足を引っ張らないような実力を
身に付けなければならないということ
幼い頃からサッカーに親しんできた彼らに
追いつくことは出来るのだろうか
…ま、悩んでも仕方ないか
「Aちゃんには"リベロ"として参加してもらうよう、瞳子監督から言われてるんだ」
「"リベロ"って、何？」
「本来DFながら攻撃にも参加する万能型の選手のことだ。まあ昨日の動きを見た限り、ゴール前で大人しくしていることは無理そうだからな」
昨年同じクラスだった涼野が苦笑いを浮かべる
万能型選手だなんて
結構な無茶振りだと思うのだが
これは既に決定事項のようで
FWとDFの練習に交互に参加するようにとのこと
今日はFWの練習に参加するようなので
玲名とペアを組みボールを蹴る
「ねえ、アイツって強いの？」
「嗚呼…ヒロトさんのこと。知っての通り彼はゴッドストライカーと称される天才的FWよ。究極の個人技、なんて言われることもあるわ。ただチームには馴染んでいなくて…練習に参加することも稀ね」
「成程ねぇ」
ボールを蹴り合いながら話を聞いていると
隣に居た南雲が大袈裟に溜息を吐いた
「でも試合ではちゃっかり活躍してくれるんだよなぁ。良いとこ取りって感じ。な、風介」
「煩い、お前と一緒にするな」
「はぁ!?お前だってそう思ってるくせに！」
「まあ、奴に才能があるのは認めざるを得ないだろう。そんなヒロトを押さえて2点も帝国からゴールを奪ったんだ。自信を持って構わないと思うぞ」
「お前なあ…素直に『お前には才能がある、応援してる』って言えばいいだろ」
「う、煩い！」
素直じゃない涼野の声援を受けながら
私は慣れない練習に励むのだった
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しろ(プロフ) - いづうさん» ありがとうございます嬉しいです……！ (2019年2月25日 19時) (
レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - 興味をそそる書き方にもう敬服しまくりです！！文面が洗練されてて読みやすかったです！つい一気に読んでしまいました…。ガンバレ夢主ちゃん！吉良を見返したれ！ (2019年2月24日 22時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2019年2月20日 18時
