うちの腐女子がーる。

苦手な時期。 ページ10

大貴side



うちの紅一点は、この季節になると何故か仕事が忙しくなる。その上、あれだけ普段強いのに、急な体調不良も多くなる。

昔からわりとそうだったから、メンバーもみんな知ってるし気にしてないんだけど…、


今年もそんな季節がやってきた。今回はいつもとは少し違って症状が重い。

珍しく“精神面”が安定しないようで、さっきまでいつものAじゃありえないくらいに元気がなかった。


こういう時は無理に声掛けたりとかしないで、そっとしてあげるのが1番良い。

それは分かってるんだけど、この楽屋にいる光くんも知念もいつものAじゃないもんだから落ち着かないみたいで、さっきからずっとそわそわしてる。


……、こういう時のAの対応はいのちゃんか薮ちゃんが良いんだけどなぁ。



『…ねぇ、』

光「ん？」


柔らかい声色で返した光くんは、さっきから俺と知念の間で膝を抱えて座っていたAに視線を移した。



『眠い死にそう』

光「…なんだそんなことか。真剣そうに言うから何かと思ったよ」

『…んや、最近なんか疲れて、』



Aの声のトーンが少し暗くなったのに気がついた。知念も気がついただろうけど、光くんが分かっているのかどうか。



『仕事でもミスばっかだし、みんなに迷惑かけてばっかで、メンバーにだって…』



あ、やべ、泣く…。

そう、直感的に感じた俺は、近くにあったブランケットをAに押し付けるように渡した。



『ちょ、な、大ちゃん…？』

大貴「よし、寝よう！！な？眠いんだろ？」

侑李「ちょっと大貴、焦りすぎ」


知念に呆れた声で突っ込まれて、俺は我に返る。…確かに今のは焦りすぎだった。


『〜〜っ、大ちゃんがなんかお兄ちゃんで気持ち悪い…、っ！！』

大貴「な…！んだよそれ！！」


いつもの調子で言われたのかと思って突っ込んだ俺は、Aの表情を見てサーッと血の気が引いたのがわかった。




大貴「わーっ！泣くな！！泣くなって怒ってないから！！ごめんって！」

『違うしまだ泣いてないし…なんでそんな慌ててんの大ちゃん』

大貴「…なんだよオイ」



…顔をしかめたこいつに、不覚にも泣き出してしまうんじゃないかって焦ったじゃんか。

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